内容説明
わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる―。足の不自由な恵美ちゃんと病気がちな由香ちゃんは、ある事件がきっかけでクラスのだれとも付き合わなくなった。学校の人気者、ブンちゃんは、デキる転校生、モトくんのことが何となく面白くない…。優等生にひねた奴。弱虫に八方美人。それぞれの物語がちりばめられた、「友だち」のほんとうの意味をさがす連作長編。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963(昭和38)年、岡山県生れ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。’91(平成3)年『ビフォア・ラン』でデビュー。’99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞を、『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。2001年『ビタミンF』で直木賞を受賞する。現代の家族を描くことを大きなテーマとし、話題作を次々に発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そる
444
かなり心揺さぶられた!連作短編の各話の主人公たちの感情とか級友などからの言葉や行動が痛すぎて一気に読めなかった。でもそんな感情も嫌な気持ちも全部ひっくるめて君なんだよ、安心して、というような救いのある清々しさ。人間関係って、特に子供や思春期だと感情を持て余すこともある。そんな事が丁寧に書かれていて、だけど見捨てない姿勢の重松さんの書き方に脱帽。「「わたしは『みんな』って嫌いだから。『みんな』が『みんな』でいるうちは、友だちじゃない、絶対に」(中略)「いなくなっても一生忘れない友だちが、一人、いればいい」」2020/02/18
zero1
392
「もこもこ雲」はどこ?「みんなぼっち」とは?登場人物の中にあなたがいる?ケガで杖が必要になった恵美。不幸な事故は彼女の心を閉ざし友だちの意味を知る。重松らしい連作短編集で、エピソード毎に中心人物が変わる。「きみ」と指名される際はドキッとするが、話が多層的になるメリットは大きい。ブンとライバルの転校生モト。八方美人の堀田ちゃん。地味だがある意味で本書の中心、由香。後輩に威張るばかりでサッカーが下手な佐藤。眼鏡が必要になったハナ。結末に向けて、登場人物たちが化学反応を超す。重松の代表作の一つと言っていい。2018/11/05
にいにい
382
重松清さん、こういう話がうまいなぁ~。小中学生の空気や雰囲気、不器用さ、意固地さがリアルに迫ってくる。「はないちもんめ」を含む後半では、うるうるしっぱなし。本当に、本当に、読んで良かった一冊。。重松さんは、人に静かに寄り添って、優しい物語をさらりと語ってしまう。そのさらりが、何故か心を揺さぶる。「青い鳥」も良かったけど、僕は、こっちが好みかな。2015/04/25
よこしま
366
友だちって数できまるの?ちゃうでしょ!◆とても大切なことを教えてくれる本です。和泉恵美・由香による女の子軸、弟の和泉文彦・中西による男の子軸とした、その周囲の子ども達も含めた人間模様。◆重松さんはイジメも、心の中にあるカーストやモヤモヤをも巧く表現してくれています。いや、そういう取材を徹底的にしてくれたんでしょう。弱い立場にある由香、堀田ちゃん、三好、佐藤先輩らの心境が特に。◆でも、透かしたように全てを視ていた恵美が一番の印象でした。由香の亡くなる前の姿が本当の友だちなんだと。残したい一冊です。2015/02/16
ちぃ~
353
またまた、読友さん推薦の一冊。読友さんありがとう。重松清さんは、こういう小中学生の周りの雰囲気、気持ちをうまく捉え、表現するんだなぁ。「はないちもんめ」から後では、ウルウルほっこり。読めて良かった!人に寄り添う優しい話。「青い鳥」もいいけど、こっちが印象に残る。友だちに悩む子供たちにアドバイス。「俯いてから顔を上げると笑顔になる」。友だちって何?と考えさせられてしまった。重松作品もっと~。2015/05/13
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