内容説明
小学四年生のツヨシのクラスに、一輪車とくちぶえの上手な女の子、マコトがやってきた。転校早々「わたし、この学校の番長になる!」と宣言したマコトに、みんなはびっくり。でも、小さい頃にお父さんを亡くしたマコトは、誰よりも強く、優しく、友だち思いで、頼りになるやつだったんだ―。サイコーの相棒になったマコトとツヨシが駆けぬけた一年間の、決して忘れられない友情物語。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963(昭和38)年岡山県生れ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。’91(平成3)年『ビフォア・ラン』でデビュー。’99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞を、『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。2001年『ビタミンF』で直木賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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zero1
260
泣きたいときには、くちぶえ!ツヨシのクラスに来た転校生マコト(女!)はチョンマゲで一輪車と口笛が得意。いきなり「番長になる」と宣言。マコトと過ごした短い期間を描く。おツボネやいじめのガムガム団など脇役はそろっている。ワンの話は泣けた。本書は「小学四年生」に連載された。重松は少年とオジサン、両方の心を持っている作家。サン=テグジュペリではないが、少年の時のことを覚えている大人はほとんどいない。だから重松は多くの読者たちに支持される。こうした本が初めて文庫を読むきっかけになればいい。読書感想文にも適している。2018/10/31
こーた
196
初出は「小学四年生」と云う雑誌の連載だから、作中人物と同世代の読者へ向け書かれている。その頃に読んでも、僕にはたぶん届かなかっただろうな。いま読めば感動できる。ノスタルジーはあまり感じない。新しい、とおもえる人物はひとりも出てこない。なのに感動してしまう。何とも腹立たしい。時代劇的な痛快さはある。それでおもったのだが、古典芸能や時代小説なんかでよくある、現代社会への批評を歴史物に潜ませる、と云うやり方を、子どもの集団へ置き換えて語るのが、この作家の主題と云えるのかもしれない。その視点もう少し読んでみる。2023/08/04
Tanaka
193
とても良い作品。マコトは他の子達が気づかないようなことを気づいている感じ。2013/03/27
Die-Go
188
図書館本。ある日ツヨシのクラスに転校してきたのはツヨシの父の友達の忘れ形見マコト。マコトは一輪車が大得意で、強きをくじき弱きを助く番長気質の女の子。マコトが滞在した一年間の間にクラスはどう変わって行くのか、ツヨシはどう成長していくのか。小学生向けだったのか、軽く読めて楽しんで読めた。★★★☆☆2015/12/27
扉のこちら側
184
2018年286冊め。かつてあんなにも親しくしていたのにもう会うこともない友人を思い出す。著者の作品にはこの手の「かつての友」を思い返して書く作品がいくつかあるのだが、毎回毎回「その手には乗るか」と思いつつも、やっぱりじーんとさせられてしまう部分があるのだ。今作ではエヴァでトラウマソングになった「今日の日はさようなら」の思い出を上書きできた。2018/07/09