内容説明
ぼくの名はエイジ。東京郊外・桜ヶ丘ニュータウンにある中学の二年生。その夏、町には連続通り魔事件が発生して、犯行は次第にエスカレートし、ついに捕まった犯人は、同級生だった―。その日から、何かがわからなくなった。ぼくもいつか「キレて」しまうんだろうか?…家族や友だち、好きになった女子への思いに揺られながら成長する少年のリアルな日常。山本周五郎賞受賞作。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963(昭和38)年、岡山県生れ。出版社勤務を経て執筆活動に入る。’91(平成3)年、『ビフォア・ラン』でデュー。’99年、『ナイフ』で坪田譲治文学賞を、『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。2001年、『ビタミンF』で直木賞を受賞する。現代の家族を描くことを大きなテーマとし、話題作を次々と発表している
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HIRO1970
298
⭐️⭐️⭐️⭐️重松さんには何故か手に取ってしまう不思議な魅力がありまして、メチャクチャに容赦なくデッドエンド的な救いようの無い、神の存在を否定するかのような死神にも見える展開パターン(1)と何とか最終ページまで持ちこたえてハッピーエンドとまでは言えずともジワッと性善説側が何とか勝ちをおさめるパターン(2)がありますが、今回は(2)でしたので最後まで気が抜けず結構ドキドキしましたが読後感も良いです。著者はナイフと本作を双子作品のように思っているようですが、ナイフは僕の印象が良く無いので(1)だったかな?2016/03/13
ミカママ
218
【再読】初出が98年だとか。そう、例の神戸の事件の少し後、ってことですね。当時は「長めの短編」だったそうで、それを長編に書き直したせいか途中冗長に思われるところも。不思議と古さは感じられませんでしたが。私自身のこの年代をクロスオーバーさせながら、当時の甘酸っぱさやいろんなものに対するイライラなんかが一気に押し寄せてきて胸が詰まるような作品に仕上がってます。こういう主題をこういう観点で描けるのって、やっぱり重松さんしかいないよね。2015/04/20
ehirano1
157
「流星ワゴン」、「疾走」に続いて重松作品3冊目。”危ない季節”に生きるエイジとその仲間。立ちはだかる”キレる”に少年らしく正面から対峙し、そして苦難の中に多くのことを学ぶエイジ、そしてその仲間達。みんな、これからも頑張れよ!そう応援したくなりました。良書です。 私もいろんなことに”負けてらんねーよ”です。2016/06/04
Tanaka
139
「キレる」がいろんな意味で使われていて、この小説はとっても「キレてる」と思った。先生の言ってた「今はヒモがたるんだ状態」って言うのも「キレる」に関係してるんだろうなー。2013/06/02
新地学@児童書病発動中
132
中学2年生のエイジの日常をリアルに描く長編。エイジのクラスメイトの一人が通り魔であることが分かり、エイジの心も不安定になっていく。重松さんの巧みな語り口のおかげで、中学2年生の男の子の揺れ動く心をまるで自分の心のように感じられる。友達との関係や女子への憧れ、親との関係、窮屈な学校生活など真に迫って描かれているので、読んでいて息苦しくなるほどだ。登場人物の中ではツカちゃんが良い。おちゃらけているけど、優しさを感じる。前向きで希望を感じるラストが素晴らしく、元気をもらえた。2016/06/05