内容説明
“目・鼻・歯”も“芽・花・葉”も、“め・はな・は”。文字を“書く”のも頭を“掻く”のも“かく”。太陽も焚き火も“ひ”…日本語はひらがなで考えると俄然面白くなる。漢字の影響を外すと日本語本来の形が見えてくる。言葉がわかれば人間がわかる。日本人の心はこんなに豊かだったのかと驚く。稀代の万葉学者が語る日本人の原点。『ひらがなでよめばわかる日本語のふしぎ』改題。
目次
ひらがなでよめばわかる―自然界から生まれたことば(体のパーツ、なぜこうよぶの?;人の一生は、草木の一生 ほか)
もう一度考えたい―たましいと対話することば(どうして命は尊いのだろう;神とともにある暮らし ほか)
知っていますか―日本人の考え方がわかることば(具体からはじまって抽象へ;本質的な働きから考える)
誤解していませんか―日本語の基本ルール(音と訓とはなにか;意味の豊かさこそ日本語のたから ほか)
著者等紹介
中西進[ナカニシススム]
1929(昭和4)年東京生れ。東京大学大学院修了。文化功労者。’63年刊行の『万葉集の比較文学的研究』により読売文学賞、日本学士院賞受賞。日本文化の全体像を視野に納めた研究・評論活動で知られ、和辻哲郎文化賞、大佛次郎賞など受賞。「万葉みらい塾」を開き万葉集の魅力を小中学生に教える。日本ペンクラブ副会長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネギっ子gen
64
【日本語はひらがなで考えると、俄然面白くなる。漢字の影響を外すと、日本語本来の形が見えてくる。言葉がわかれば人間がわかる。日本人本来の心はこんなに豊かだったのかと驚く】文字を“書く”のも頭を“掻く”のも、“かく”。太陽も焚き火も、“ひ”――。万葉学者が日本語を考察し、日本人の思考や感情の根本的なところを見極めようとした書。著者は提案する。<そもそもの日本人の心を知るために、まず漢字を取り払ってみましょう。「は」とは、歯でも葉でも端でもあるのですか、「漢字で書くと別だ」という考えを捨ててほしいのです>と。⇒2025/01/23
piro
37
日本語について、古来の日本語・やまとことばを拠り所に本来の意味や由来を述べた一冊。言葉の成り立ちや変化を知る事で、元々日本人が持っていた自然観や宗教観を垣間見る事ができます。神(かみ)の語源が熊(くま、韓国語でコムと言うらしい)と言うのは納得ですが、アイヌ語のカムイ(神を表すと共に熊の意味もある)を経て「かみ」になった様にも思います。「科(とが)」(尖る、棘…)と「罪(つみ)」(積む、詰む…)、「うつくし」は「慈し(いつくし)」で本来「かわいい」の意味、など興味深い由来が多数。日本語は奥深いですね。2022/06/12
ほう
29
日本の言葉というものについて、こんなに深く考えた事はなかった。今までは漢字の意味から察して文章を理解していたように思う。古来から使われていた「やまとことば」の成り立ちや使い方にとても驚いた。古典の勉強は難しいと思っていたけれど、ここから始まっていたら向き合い方が違っていたのではと思うばかりである。2022/07/23
taraimo
29
ことばが生まれた由来や変遷を知り、接尾語と結びつき新たな意味合いへ広がったり、ひらがなを使うことで、ふんわり柔らかい印象になったり、そのひらがなにどの漢字をあてるかで、より具体的になりニュアンスが変わったり……奥深いです。枕について、手(たまくら)は家、草(くさまくら)は宿=旅、古代の短い歌に込められる言の葉に想像を巡らせ趣を感じます。そもそも生まれて初めて触れた文字は“ひらがな”だったと初心に返ります。英語や他国語を始めるには遅いけれど、せめて日本語は正しく使いたいし、もっと学びたい心境です。2022/06/24
tomi
28
「目」と「芽」、「鼻」と「花」、「歯」と「葉」は異なる漢字を当てられて同訓異義語として扱われているが、もともと同じ言葉だったという。漢字に惑わされずにひらがなで読むと全く異なると思っていた言葉のつながりが見えてくる。例えば土器を掻いて欠いて書く(描く)から全て「かく」という同じ言葉だった等々、目からウロコの連続。「むぎ(麦)」や「かみ(紙)」「ふみ(文)」など訓読みとして扱われて、やまとことばのように思われている言葉のなかに中国語由来のものが少なくないという指摘も驚きです。2020/01/11