新潮文庫
「死体」を読む

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  • サイズ 文庫判/ページ数 261p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101347516
  • NDC分類 498.94
  • Cコード C0195

内容説明

東京都監察医務院の監察医として、数多くの殺人死体の解剖を手がけてきた著者。その経験に裏打ちされた眼は、迷宮入りの代名詞ともなった芥川龍之介の『薮の中』にさえ、真犯人を発見してしまう。他に、探偵小説の祖・ポーや性の深遠を描いた文豪・谷崎潤一郎などの文学作品、また帝銀事件や下山事件など、未だに歴史上に謎を残す事件死体に挑戦する。

目次

序章 現代ミステリーと法医学―森村誠一「精神分析殺人事件」の刺殺事件と、横溝正史の『犬神家の一族』の連続殺人に触発される
第1章 あの迷宮入り小説に真犯人がいた―芥川龍之介『薮の中』の刺殺事件を解剖する
付録 「薮の中」(芥川龍之介作)
第2章 探偵小説の原点とマスコミ報道―ポー『マリー・ロジェエの怪事件』の水死体を探る
第3章 文豪が書いた「性」と「死」―谷崎潤一郎『鍵』の性交死を研究する
第4章 日本史にみる毒の系譜―松本清張『日本の黒い霧』の毒殺死体に学ぶ
第5章 昭和史最大の謎の死体―矢田喜美雄『謀殺 下山事件』の轢死事件に挑む
終章 世界最古の法医学書と死者の人権―宋慈『洗冤録』の焼死体を看破する

著者等紹介

上野正彦[ウエノマサヒコ]
1929(昭和4)年、茨城県生れ。医学博士。元東京都監察医務院院長。東邦医科大学卒業後、日本大学医学部法医学教室を経て、’59年に東京都監察医務院監察医となる。’84年から同院長となり、’89(平成元)年退官。退官後に出版した『死体は語る』は65万部を超える大ベストセラーになった。現在は法医学評論家として執筆、TV出演など、多彩に活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

雨巫女。@新潮部

21
《私‐図書館》【再読?】小説の中の死体で検死を行う?面白い。特に芥川龍之介の『藪の中』は、よかった。2011/06/13

たくのみ

11
30年間に2万を超える死体とかかわってきた監察医の上野先生が、ミステリーを法医学の視点で読みなおす、でもフィクションとして楽しむ視点を忘れていないのが嬉しい。横溝の「犬神家の一族」、芥川の「藪の中」そして、ポー、森鴎外も俎上に上がる。証拠隠滅のため、他殺を自殺に見せかけたり、縊死を病死に見せかけたり、犯罪者の行動は検視官の目はごまかせないのだ。拉致被害者の人骨と偽って、他人の骨を焼き直して送り返した某国。監察医の判定ですぐわかるトリック「人権のない国には法医学者はいない」まさに、そのとおり。2013/11/20

風竜胆

11
内容が内容なだけに実際に、こんな知識が役立つような場面には遭遇したくないものだが、ミステリーを読むときなどには、知っておけば案外とツッコミを入れながら面白く読めるようになるかもしれない。2013/04/13

ヨグ=ソトース

6
映画や小説で起こる殺人と現実の殺人事件との違いを意地悪く指摘する人がよくいますが、経験豊富な監察医である著者が意外にも寛容なのに驚きました。『藪の中』を分解し、検視報告書のように読み解くことで犯人を特定するという、探偵の推理を聞くような論理的で鮮やかな語り口に思わず惚れ惚れします。素人でも知っていて損はない法医学の豆知識が随所に散りばめられているほか、日本の監察医制度の問題点や法医学者のあるべき姿まで幅広く言及されており、大変勉強になりました。2018/08/28

ゆみ

4
有名な文学作品を法医学的にみる話におー!っとなってしまった。犬神家の話は有名だけどまだ未読(いつかは読もうと思っていた)&結末知らなかったので突然のネタバレ?に驚く。それでも面白い。文章から死体を読み解くって凄いですね2019/11/04

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