内容説明
異質さゆえ、互いから目を逸らせぬまま成長した幼馴染は、それぞれの足で大阪から東京へと辿りついた。八月二日夕刻、合田雄一郎警部補は電車から女性の飛び込みを目撃する。現場より立ち去ろうとしていた佐野美保子との一瞬の邂逅。欲望に身を熱くした。旧友野田達夫との再会は目前に迫っていた。合田、野田、美保子、三人の運命が、溶鉱炉の如き臙脂色の炎熱の中で溶け合ってゆく。
著者等紹介
高村薫[タカムラカオル]
1953(昭和28)年、大阪市生れ。’90(平成2)年『黄金を抱いて翔べ』で日本推理サスペンス大賞を受賞。’93年『リヴィエラを撃て』で日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。同年『マークスの山』で直木賞を受賞する。’98年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞を受賞。2006年『新リア王』で親鸞賞を受賞。’10年『太陽を曳く馬』で読売文学賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小梅
111
拝島や福生に青梅線やら八高線…そんな近くに会田刑事がいたの?みたいな感じで、冒頭に知ってる地名が出てきたので、すぐ引き込まれました。 関係ないように見える工場や人身事故に賭博…どこかで繋がるのでしょうか?下巻に続く。2016/09/14
aquamarine
78
過剰に思えるほどの工場の描写。ねっとりと絡みつくようにこの世界に引きずり込まれます。このいかにも!という高村節が合わない人は全く合わないだろうなと思います。私も高村作品に出会ったばかりの頃はこれが目が滑って読みにくかったのです。でも今回はなぜかこれが高村作品を読んでいるという安心感を感じさせてくれました。それにしても、今回の合田はちょっと腑に落ちません。そもそも私、恋愛もの苦手なので…。さて後半では事件の本質等どんな展開を見せてくれるでしょう。続けて「下」へ。2016/08/25
aax74370
46
★★★★☆ 合田シリーズ 読む順番間違えましたwww 先に3作目の「レディー・ジョーカー」読んでしまった。。。 先に2作目のこちらを読めば良かった。。。 合田の壊れる様を 順番通り読みたかった。。。 この合田シリーズ 僕には合います♪ 下巻の展開が楽しみです。2014/06/05
yumiha
39
再読。読メ登録以前に読んだはずだけれども、例のごとく記憶が蘇らない初読の気分。ただ鬱々とした雰囲気が漂っていたことだけ蘇る。さて本書は、合田雄一郎の少年時代を知ることができたのがお得かな。それにしても35度の大阪の暑さに合田も、その昔なじみの野田達夫も茹でられているような描写たっぷりだが、最近の猛暑は40度越えているから、なお更やりきれんのう。真夏には読みたくない本だのう。本書は、捜査に行き詰まっている合田の様子より、達夫の職場や家族関係などに多くのページを割いている。これが、どう絡んで進んでいくのか?2025/03/31
きいたん
30
灼熱?いや違う。深紅?これも違う。この本の世界観。色は絶対に赤、そして、肌に伝わるのは気管も焼けるのではないかと思うほどの暑さであるが、それを表すのに相応しい言葉が思いつかない。そこはやはり表題『照柿』。夏…だけれども朝や昼間のからっとした暑さではなく、それは夕方になっても揺るがない西日の不快な暑さ。色…それは鮮やかな赤ではなく、少しくすんでオレンジがかった、熟れすぎて今にも落ちてしまいそうな柿のどろっとした赤。そんな熱と色がひたすら漂っている物語。どっぷりつかると息ができなくなりそうで斜め読み。下巻へ。2017/05/25
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