内容説明
いかなる運命のいたずらか、授かった3人の息子はみな障害を持っていた。時に他者の無理解に泣きながらも、優しい父さんと3人の成長を喜び、手探りの子育てを続けるうちに、かつての「平凡な女の子」は、「非凡な母」へと成長した。事件の連続のような日常から、ユーモラスな筆致で宝石のような瞬間を掬い上げ、「障害は不幸のモトではない」ことを教えてくれる珠玉のエッセイ。
目次
長男・洋平誕生
次男・大誕生
三男・航誕生
保育所
洋平と学校
参観日
トモダチ
違うということ
自閉症
運動会〔ほか〕
著者等紹介
佐々木志穂美[ササキシホミ]
エッセイスト。1963(昭和38)年、広島県広島市生れ。広島女学院大学短期大学部家政科卒業。2003(平成15)年、「母から子への手紙コンテスト」大賞受賞。宮本輝選『父の目方』に短編収録。著書に『さんさんさん』(新風舎出版賞大賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆみきーにゃ
51
《購入》読メで知った一冊。本当に母は強しですね。人間の暖かさ、強さが伝わりました。2014/11/03
まど
25
3人の障害児を育てる母のエッセイ。「本当なら」「もしも」という気持ちが自分の境遇のためでなく、息子の幸せを願う気持ちからでる問いであることに涙があふれました。お母さんの愛情あふれる一生懸命な姿、ユーモアを忘れない明るさが豊かな恵み多い人間関係に繋がっていると思いました。 「その子は世界でひとり、その存在自体が幸せなんだ」という思いは、子どもをコントロールしてしまいそうになる私にとって忘れがちな大切なこと。2011/03/06
Natsuko
19
著者は3人の男の子の母。長男は重症心身障害(20歳で永眠)、次男は高機能自閉症、3男は知的障害ありの自閉症。「子は親を選んで生まれてくる」この言葉が今までで一番しっくりきた。障害福祉に携わり、専門知識、最新支援法を追いかけている日々だが、本著を読んで「ご本人+親御さん目線」を忘れてはいけないと再認識するとともに、シンプルに仕事の本質を考えた。母と息子のエピソードに、あるお母さんを思い浮かべたりもして、ほっこりしたりくすりとしたり。2023/11/12
リカステ
11
「あなたたちのうち、確実に何人かは障害児の母になる。クラスに一人はなる」こんな言葉を掛けられても、正直現実味などない。その時にならなければ本当に覚悟を決めることなんてできない。いくら読書して知識を蓄えたとしても、もしその立場になったら必ず泣いてしまうのだろうと思う自分がいる。果たして自分は、周囲に助けを求められる人間だろうか。いや、一人で抱え込んで取り返しのつかないことになってもおかしくない。母になる性を考えるととりとめがない。2015/05/15
ぴーたん
8
新風舎で出版されたものを新潮文庫で復刊した本。三人の、それぞれ違う障害を抱えたお子さんの子育てエッセイ。はじめ、高校の講演で、クラスの中で必ず誰かは障碍児の母になる、と言われたそうで、確かにそうだなと思いました。また低学年の遅れはたいして気にならなくても、思春期に人と違っている事は周囲からもいじめられやすく、本人の心も大嵐というのに納得。現場でも違いを元にしたイジメが絶えないから。大変な中、子どもと私が幸せになることが大事、と書くことを続ける著者の姿に元気もらいました。私も明るく子育てしたい。2011/04/04