出版社内容情報
お家断絶に見舞われた赤穂浅野家と三田九鬼家に生きた武家の、哀切な矜恃と家族の絆。温かな眼差しと静謐な筆致で描ききる全五篇。
代々、赤穂藩に仕えながら、浅野と吉良の刃傷事件から深川の裏店へ流れ着いた藤野親子。父は武士の体面を捨て、一心に働くも体を壊し絶望の中で生涯を終える。浪人暮らしを経て、念願の仕官が叶った息子を待ち受けていたのは、よそ者ゆえの残酷な使命だった――(「沙の波」)。お家断絶に見舞われた赤穂浅野家と三田九鬼家に生きた武家の、哀切な矜恃と家族の絆を描く全五篇。
内容説明
代々赤穂藩に仕えたが、浅野と吉良の刃傷事件の後、江戸・深川の裏店へ流れ着いた藤野親子。父は武士の体面を捨て、一心に働くも体を壊し絶望の中で生涯を終える。浪人暮らしを経て、念願の仕官が叶った息子を待ち受けていたのは、よそ者ゆえの残酷な使命だった―(「沙の波」)。お家断絶に見舞われた赤穂浅野家や三田九鬼家に生きた武家などの、哀切な矜恃と家族の絆を描く全五篇。
著者等紹介
安住洋子[アズミヨウコ]
1958(昭和33)年、兵庫県尼崎市生れ。’99(平成11)年、「しずり雪」で長塚節文学賞短編小説部門大賞を受賞。2004年、中短編集『しずり雪』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はつばあば
40
赤穂の殿さまに翻弄された家臣、お家騒動に翻弄された九鬼の家臣。どちらも海の凪や荒れ狂う様を、人の生き様に例えた作品。この中でも澪の波が小石川療養記と重なって好きでした。人の如何にちっぽけな存在か、親でいること、親の子である事、ずっとずっと背負って生きていかねばならない哀しみと優しさ、寂しさに耐えて人生を終える。ちっぽけな存在でも人生は一度きり。大切に過ごしたいものだ2015/07/23
ぶんこ
34
安住さんのファンですが、少し疲れてきました。 いつまでたっても裏切りだの権力争いばかりで、安住さんだけに優しい文章ですが、やはり疲れます。 5編の短編全部が切なかったり、最後は少しはホッとするオチがついてましたが、読み終わってヤレヤレといった気分です。 少しは遠ざかってみます。 そういえば家族の大好きな忠臣蔵、私は苦手なのでした。2015/03/26
ひさか
24
小説新潮2005年6月号沙(いさご)の波、2007年7月号暁の波、2008年2月号ささら波、8月号夕彩の波、12月号澪の波、の5つの武家もの短編を2009年10月新潮社刊。2012年3月新潮文庫化。いずれも九鬼家の下級武士、その家族のお話。命のやり取りもある話に怖さもあるが、無事であれば、安心もひとしおで、各シーンが簡潔な文章で緊迫感たっぷりに書かれている。登場人物それぞれの生きようとする姿に胸を突かれます。2021/07/31
さら
24
波って人生のようにも思えます。そんな風に感じる短編集でした。どの短編も切なさや侘しさがあり、一気に読むには心が元気な時でないとつらいなぁと、少し疲れ気味の私は思いました。特に『沙(いさご)の波』と『夕彩の波』は、ままならぬ人生とか人の思いが感じられて切なかったです。重里氏の解説『後ろめたさの由来』もとっても共感出来て良かったです。2014/10/21
ドナルド@灯れ松明の火
23
安住さん2作目。今作も切ない短編集。安住さんの文章は簡潔でかつ細やか。武士の矜持と家族への思いの狭間に苦しむ武士たちの生き様が物悲しい。2015/12/10