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新潮文庫
いつかX橋で

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  • サイズ 文庫判/ページ数 580p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101341521
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

空襲ですべてを失った祐輔は、仙台駅北の通称X橋で特攻くずれの彰太と出会う。堅実に生きようと靴磨きを始める元優等生と、愚連隊の旗頭となり不良街道まっしぐらな正反対の二人。お互い反発しつつも、復興の街で再スタートを共にする。そして、いつかX橋の上に大きな虹を架けようと誓い合う。不遇な時代に選ばれてしまった人間に、何が希望となり得るのか―心震える感動長編。

著者等紹介

熊谷達也[クマガイタツヤ]
1958(昭和33)年宮城県生まれ。東京電機大学理工学部卒業。’97(平成9)年『ウエンカムイの爪』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2000年『漂泊の牙』で新田次郎文学賞、’04年『邂逅の森』で山本周五郎賞、直木賞を受賞。仙台在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

114
『邂逅の森』以来、久しぶりに熊谷達也の本を読んだ。舞台は戦後間もないころの仙台。廃墟の後にたたずむ祐輔と彰太がいつかX橋の上に大きな虹をかけようと頑張る物語・・それは、東北大地震ですべてのものを失った人たちへの応援歌のようにも思える。それにしても熊谷達也が描く物語はある意味酷い。母と妹も仙台空襲で喪うシーン、そして最後の残酷な終わり方。祐輔と淑子は明日に向かって幸せに進むのかと思わせる途中の描写から、一転すべてを終わらせるという…ある意味、筆力がなければ書けない展開を描ききっていた。 2011/05/06

TATA

35
舞台は仙台。戦争末期から終戦直後の混乱の中にあって希望を求めて生きる少年たち。始まりの舞台は仙台大空襲、そこでの凄惨極まりない描写はこれから始まる主人公の厳しい人生を予感させるだけの迫力充分。ただその後が続かなかったかな。よくある話的な展開に、何より主人公たちの成長が見られない。結果、中弛み、尻すぼみかなあ。熊谷さんといえば「邂逅の森」や「烈風のレクイエム」のような圧倒的な迫力を期待してしまうのですが。うーん。2019/10/30

さんつきくん

19
戦中・戦後の仙台が舞台。7月10日の仙台空襲の描写が、残酷だけど著者が丁寧に調べ上げた成果もあり迫力があった。街が燃える姿が美しく思えたと言う表現は当時の人々が実際に抱いた感情だ。そんな中、家族を亡くしながらも、なんとか生き抜いた主人公土屋祐輔。戦後、宮城県民ならみんな知っている「X橋」では様々な境遇の人達がいた。主人公はそのX橋様々な人達と出会う。特攻崩れの親友。米兵相手の娼婦「パンパン」など。戦後の混乱期、生きることで精一杯だった市民達の描写も秀逸。ラストがバッドエンドなので、いろいろ言われてますが。

Koji Eguchi

18
[ネタバレ注意]戦時中、戦後の悲惨な体験を経て親友になった祐輔と彰太。生き方は違っても最後まで信頼し助け合った。でもその結果、最愛の妻と結婚生活を送ることなく死んでしまった。そこまでの友情を持てたことは素晴らしいが、同じように苦難な生活、何度も身を引こうとした末やっと幸せをつかみかけた淑子の心中察すると悲しすぎる。でも現代人にはまず考えられない、艱難辛苦を経た人間のギリギリの強さを感じさせられた。仙台の街が目に浮かぶようであり、また、3.11以後の作品が気になる。2013/05/08

ゆみねこ

14
空襲ですべてを無くした祐輔と特攻隊崩れの彰太。堅実に生きようとする祐輔とやくざを目指す彰太。いつかX橋の上に大きな虹を架けようと誓うが。終戦後戦災孤児になった人たちの物語は東京が舞台のものがほとんどだが、仙台を舞台にしたものは珍しい。ただ、ラストが希望を持てるものならばもっと良かったと思った。2011/05/17

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