内容説明
江戸時代の女たちは、か弱く不自由な存在だった、というのは間違い!殊に将軍家や大名家に勤める奥女中たちは、金銭的にも性的にも自立し、身分を越えた大出世も夢ではなかった。奔放に性を愉しむ藩主の生母、本寿院。老中も擦り寄った大奥の権力者、姉小路。奥勤めで鍛えた知性で夫を負かすインテリ妻、川路高子など、江戸の史料が伝える逞しい女たちの実像。
目次
1 お手本は奥女中
2 壁を越える女たち
3 男子禁制?
4 老女力
5 哀しい姫君
6 奥さまは卒業生
著者等紹介
氏家幹人[ウジイエミキト]
1954(昭和29)年、福島県生れ。東京教育大学文学部卒業。歴史学者。専攻は日本近世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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雨巫女。@新潮部
15
《私‐図書館》江戸時代も実は、のびのび楽しんで生きた女性たちがいたんだなあ。2011/05/13
恵
3
副題からして大奥の話だとばかり思ってたら、全般的な武家の妻女の話で興味深かった。書名みたいに、時代ごとの大奥の権力者一覧みたいのがあったら・・・というのは、ないものねだり。2011/02/01
いずみ
3
易しく書こうとしているのはわかったけど、文章が(難しくないのに)読みにくいのか、引き込まれない。2010/12/25
Youhei Hatakeyama
1
何となくドロドロしたイメージがある大奥について、様々な史料を取り上げその実状を描いた著作。男子禁制と思われがちだが意外と抜け穴があったことや、江戸の女性のエネルギッシュな様子を目にすると人って変わらないものだということを改めて認識。江戸期の史料の豊富さも驚きだった。伝書以外の史料も漁り続けたらまだまだ色々出てきそうだ。2015/05/12
うたまる
1
大奥を中心に、江戸時代の女性の風俗を紐解く本書。他著作物の切り貼りが多いため、これを著書と呼ぶのはどうかと思うが。さて、本書の精華は、男尊女卑の時代にあって女性は必ずしも忍従や刻苦を強いられただけの存在ではなかったことに光を当てたこと。紹介されるエピソードの数々に、女性らしい理知や情動が煌めいている。中でも大奥の奢侈への批判に対し、「驕奢の源泉は表に在り、奥は唯だ其支流たるに過ぎざるなり、然るに源泉を塞がずして支流の深きを彼是云ふは、油を注いで火を消さんとするが如し」の切り返しはお見事。2013/10/27