内容説明
恋文、挨拶状、通知状から借金の依頼状まで、二十四人の文豪からその心得と奥義を学びとる一書。
目次
第1章 心に響かせる「愛の手紙」
第2章 人柄があらわれる「挨拶の手紙」
第3章 気配りが大事な「おしらせの手紙」
第4章 命がけで書く「道ならぬ恋の手紙」
第5章 人生を切り拓く「お願いの手紙」
第6章 私たちも参考にしたい「手紙の心得」
終章 「まごころ」を伝えるために
著者等紹介
中川越[ナカガワエツ]
1954(昭和29)年、東京都生れ。中央大学文学部を卒業後、雑誌・書籍編集者を経て、執筆活動に入る。手紙に関する著作が多く、古今東西、有名無名を問わず、さまざまな人物のものを広く閲覧し、そのあり方を探求しつづけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
95
文豪達が書いた手紙に、解説や解釈が施されている。愛や恋については、半藤一利氏の本の方で詳しく読んだが、やはり不倫の手紙には苦しさが愛をこえてあるのに対し、恋人や妻へのものは読み手にも幸せのお裾分けを頂くよう。借金の依頼の手紙はどう書こうと嫌なものだ。梶井基次郎が川端に書いた挨拶は、どこまでも秋に向かう美しい山の便りだが、抑えた病への苦しみが切々と読み取れる凄み。やはり漱石ほど手紙を書ける人はいない。自在に巧みにではなく、真面目に真摯に真心をこめ、相手に合わせた文章で書いているあたり、人間の大きさがみえる。2015/02/16
ユズル
29
皆さんは手紙書きますか?メールでなくて、手紙。そう問う私も、ブロ友さんに出す手紙は地域の名産品とか送ることが多いので物資を送るに近くて、まともな手紙は書いてないような…この本は古今東西の文豪達が残した手紙から書き方を学ぶ本です。コンセプトは良いのですが、文豪の方々も、後世に見知らぬ人間の目にさらされるとは思ってないでしょうに、可哀想でなりません(((^_^;)特に芥川龍之介のラブい恋文から、川端康成の借金頼み、太宰治が佐藤春夫に何度も自分を芥川賞に取れと脅す文…ある意味、この人達の作品読みたくなりました。2014/08/03
ロマンチッカーnao
27
文豪たちの手紙です。夏目漱石、森鴎外、中原中也に谷崎潤一郎、太宰治等々内容も、ラブレターも恋人から不倫相手まで。さまざまな依頼文もあり、時候の挨拶もあり、この本の良い所は紹介と解説にとどまらずに素人たちでも文豪と同じような優れた読む人の心をとらえる手紙が書けるように丁寧なアドバイスがあります。かなり優れた文庫文です。 特に良いと思ったのが、夏目漱石と並ぶ文豪、森鴎外の7歳の長女に当てた手紙。軍医の最高位に居ながら文豪というとんでもなく忙しいのに、心のこもった手紙を送っています。日本の男が目指すべき姿です。2018/01/14
Tadashi_N
22
手紙は技術ではなく内容。語彙と破格が作家の個性。恋愛、借金、不倫あり。2022/02/12
いの
21
手紙といえば少し前によんだ「百年の手紙」がとても良かったです。こちらは優れた作家さん方の手紙を紹介し言葉選びやその効果を分かりやすく説明しているいわば手紙の書きかた入門書といえます。場合によってはその真意を読み解く読み手の力も必要になり相手に合わせた言葉や文章を選ぶことも大切です。たった一言のその前文に驚き本文に喜びをもらい、前後の言葉選びやそのセンスに私はこれはいい本を手に入れたぞ!とニマニマしているところです。テレビも無い当時では文字で動きをだし心に呼びかける唯一の手段だったのだろうとも思いました。2019/06/22