新潮文庫<br> 精神病棟の二十年―付・分裂病の治癒史

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新潮文庫
精神病棟の二十年―付・分裂病の治癒史

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  • サイズ 文庫判/ページ数 236p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101326313
  • NDC分類 916
  • Cコード C0195

内容説明

受験勉強に没頭していた二十一歳の青年を、ある晩突然襲った「地獄」。思いを寄せる女性が友人と絡み合う生々しい幻覚、次いで二人して自分を嘲笑う幻聴。精神病棟での長い療養生活の、それが始まりだった。電気ショック、インシュリン療法、恐怖の生活指導。絶望の中で青春を送り、四十にして社会復帰を遂げた著者が赤裸に綴る異様な体験。精神医療の内情を静かに告発した超ロングセラー。

目次

精神病棟の二十年
患者の側から書かれた分裂病の治癒史(金子嗣郎)

著者等紹介

松本昭夫[マツモトアキオ]
1935(昭和10)年、北海道上川郡比布町生れ。’61年、早稲田大学文学部仏文科卒。以降、病気のため職を転々とする。現在は無職、夫人と旭川に暮らす
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Ted

6
幻聴・幻覚や空笑といった精神障害の典型的な症状がある一方、著者の経歴や文章のレベルからかなりマトモな部分もあることが推測される。支離滅裂なことを呟き、書く内容も「言葉のサラダ」状態といった精神病の一般的なイメージとはかなり異なる。また、どこでも長続きしないながらも、凡そ勤まりそうもないと思われる(広告会社の)営業職を曲がりなりにも一貫して続けて来られたというのは不思議な気がする。著者はその切実な経験から、精神障害の根本原因は“異性からの愛の欠如にある”と固く信じて疑わないが、やはりそれだけでは無理がある。2010/12/30

ゆきのすけ

4
N病院のすぐ近くに住むので、作中に出て来たときは嬉しいようで、精神病院なだけに、複雑な心境に。精神病院の閉鎖病棟、怖い。電気ショック療法も、インシュリン療法も、こう読んでいると拷問に近いように思えてくる。死にかける意識と、その恐怖は例えようもないだろう。恐いもの見たさで経験してみたい、とは思えないくらいだ。ロボトミー手術のことが気になったので、『カッコーの巣の上で』見てみたい。精神に変調をきたした患者に対して、医療は本当の救済を与えられない、ということをよく考えるが、あながち間違っていないと思える。2010/06/11

水沢晶

3
驚くほど読みやすく、興味深い一冊だった。続編も刊行されてる模様。2020/01/11

またの名

3
たとえば俗流フロイト性愛主義に固執する患者の身を切るような告白に対して、文学的修辞をこね回し過ぎるとか身勝手な恋愛観だとかリビドー信仰に偏り過ぎだとか貶す無自覚の悪意が降り積もって患者にとっての「幻聴・幻覚」に転化する可能性を顧慮しない、そうした自分の態度をロボトミーや電気ショックを躊躇いもせず愛用した旧き精神病棟の無慈悲さからどこまで差異化できると言い張れるか、常に自問するよう迫られる緊張感のある読書体験。フーコーが諸領域で作動するシステムの負の面を告発した時、そんな態度の共謀行為も標的にしていたはず。2013/12/28

青葉麒麟

3
元患者が此処迄理路整然に自分の事を書けるのは凄いと思う。やけに《愛》に拘ってないかなぁ?2011/10/14

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