内容説明
鉄道のシステムがダウン。都市銀行も同様の状況に陥る。社会インフラを揺るがす事態に事件の影を感じた竜崎は、独断で署員を動かした。続いて、非行少年の暴行殺害事件が発生する。二件の解決のために指揮を執る中、同期の伊丹刑事部長から自身の異動の噂があると聞いた彼の心は揺れ動く。見え隠れする謎めいた“敵”。組織内部の軋轢。警視庁第二方面大森署署長、竜崎伸也、最後の事件。
著者等紹介
今野敏[コンノビン]
1955(昭和30)年北海道生れ。上智大学在学中の’78年に「怪物が街にやってくる」で問題小説新人賞を受賞。レコード会社勤務を経て、執筆に専念する。2006(平成18)年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、’08年、『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞と日本推理作家協会賞を受賞する。’17年、「隠蔽捜査」シリーズで吉川英治文庫賞を受賞。さまざまなタイプのエンターテインメントを手がけているが、警察小説の書き手としての評価も高い。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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absinthe
219
今回、粗が目立つなぁとは思いつつ最後まで一気読み。面白かったが…過去の事件を担当警官のうろ覚え知識に頼ってるが、裁判記録や調書をなぜ参照しない?とはいえ話が終わってみるときちんと輪が閉じて納得してしまう。今回の事件はハッキング。天才クラッカーが私鉄と銀行のシステムをダウンさせる。並行して起こるリンチ殺人事件。意外なつながりを見せ…。圧力に屈しない竜崎のブレない姿はまたまたカッコいいのだ。大森署での竜崎最後の事件となる。2021/09/13
ノンケ女医長
174
いよいよ、竜崎伸也警視長に異動の内示が出た。その直前から内部では噂が立ち、大森警察署の署員たちは、真偽を直接本人に確かめようとする。冷静に、数々の難事件への指揮を執り、解決に導いた。そして何より、署員を守り続けた竜崎署長。彼が大森警察署の署長室を出たとき、普段賑やかなはずの1階は、静まり返っていた。署員は最大級の敬意と謝意を示して、去り行く署長を見送った。大森警察署の総意に、深く感動したし、作品を追いかけてきてとても良かったと思うことができた。次の大森警察署長は、かなり大変だ。2022/12/16
おしゃべりメガネ
157
ここ最近の「竜崎」おっかけ祭りもまずはいったん終了かなと。大森署長としての活躍がラストとなる本作はサイバー犯罪を扱っています。相変わらず個性的なキャラが続々出てきますが、本作ではこれまでの「戸高」さんに勝るとも劣らない「田鶴」さんが登場し、話を盛り上げてくれます。これまでのシリーズの中でしっかりとブレない具合を見せながらも、人間味が出てきた「竜崎」がなんだかちょっと新鮮です。ラスト、大森署を離れるシーンがカッコよすぎで溢れる涙が止まりません。このシーンを読むためにここまで読んできて良かったなと思いました。2021/04/07
TAKA
134
大森署長竜崎の最後の事件はサイバーテロと少年リンチ殺人事件。遂に移動になるんですね。もう少し大森署篇を読みたい気もするし次の赴任場所の神奈川県刑事部長の活躍も気になります。一国一城の主も名残惜しい場面があってこの大森署を離れがたい想いが見受けられて、少し柔らかくなったのかなあと。署員も同じ想いだったことが嬉しいですね。いつも思うけど挨拶がない等の幹部の不条理はどうにかならんもんかの。これで押印も卒業ですか。2022/02/24
にゃむこ@読メ13年生
129
【Kindle】竜崎の大森署長としての最後の事件はサイバーテロ。鉄道、銀行がサイバー攻撃を受けてシステムダウン。ほんの些細なところに違和感を覚え、どこよりも先に竜崎指示のもと対処する大森署員。ナワバリ争いで生安部長から横やりが入ろうがいつもどおりお構いなし。安定の竜崎署長でした。所轄の署長という降格人事の禊も終え、次なる活躍の場は神奈川県警へ。貝沼副署長はじめ大森署員の面々との別れは竜崎だけでなく私も寂しさを感じた。新天地での活躍も楽しみ。2022/06/14