内容説明
「矛盾が多ければ多いほど、その人物は面白いと言うことができます」(キーン氏)―三島は、矛盾に富む人だった。文学を愛し古典の教養溢れる一方で、日本の自然や食文化には無頓着。国内より海外で評価されることを切望し、貴族の存在を嫌いながらも度々作品に登場させた。知られざる素顔と葛藤を目撃していた両著者が亡き友を偲び語り合い、貴重な証言録となった追善紀行。
目次
『天人五衰』の尼寺
回想の三輪明神
旧志賀直哉邸
あの人の「仮面」とは
アジャンタの合歓
落魄のニューヨークで
垣間見た痛々しさ
むしろ鏡花に
美作へ吹き抜ける風
くらい手紙
津和野ストイシズム
松江瞥見
与兵衛の殺意
著者等紹介
徳岡孝夫[トクオカタカオ]
1930(昭和5)年、大阪生れ。毎日新聞社社会部、『サンデー毎日』、『英文毎日』の各記者を務め、’97(平成9)年に『五衰の人―三島由紀夫私記』で新潮学芸賞を受賞
キーン,ドナルド[キーン,ドナルド] [Keene,Donald Lawrence]
1922‐2019。ニューヨーク生れ。日本文学の研究、海外への紹介などの功績によって2008(平成20)年に文化勲章を受章。東日本大震災を機に日本永住の意志を固め、’12年に日本国籍を取得。著書に『明治天皇』(毎日出版文化賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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