新潮文庫
少年H〈上巻〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 479p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101311067
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

神戸の海辺の町に「H」と呼ばれた少年がいた。父親は洋服の仕立て職人。母親は熱心なクリスチャン。二つ年下の妹の四人家族。Hが小学五年生のとき、戦争が始まった。父親がスパイ容疑で逮捕され、Hが大好きな映写技師のお兄ちゃんも、召集を逃れて自殺する。戦争の影が不気味に忍びよってくる。Hは何を見て何を感じたか?戦争を子供の視点で描いた感動の超ベストセラー。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やも

86
妹尾さんの自叙伝になるのかな?昭和初期に子供時代を過ごした少年H。仕立て屋を営むお父ちゃんと、キリシタンのお母ちゃんと、妹の4人家族。子供の世界に戦争が近づいてきていても、その世界を生きる逞しい少年H。大人の世界にある【なんで?】も素直な目で綴られている。それを諭すお父ちゃんもいいんだよね。シゲさんとのお別れすき焼きで、悲しいのにシゲさんの分のお肉も食べてしまう子供らしいエピソードとか、可愛くてお気に入り。スパイ容疑の仲直りのシーンも好き。下巻では戦争真っ只中になるのかな…ちょっと読むのが怖い。2024/01/20

扉のこちら側

83
2016年265冊め。小説にしろ漫画にしろ、映像化された作品は先に原作を読む派だけれど、こちらはたまたまテレビ放映されていた映画版を(別の小説を読みながら横目で)観たことがありおおむねのあらすじは知っていた。賛否ある作品だけにどうしてもうがった見方をしてしまうのだが、やはり「戦後に知った事実」を盛り込んで書かれた印象は拭えない。ただ漱石の「坊ちゃん」に通じるような物語としての面白さは感じる。下巻へ。2016/04/22

ケイ

48
戦争時の暗い話と勝手に思い込んでいた。なんて逞しくて頼もしくて元気な男の子の話だろう。まだ本当に戦争のキツい場面に入っていないからか、戦時下の話というより、神戸の仕立て屋の息子の話として読める。何でもやってみたい、知恵も悪知恵も持ち、強い者にも怯まず、機転と負けん気で乗り切っていく。それと釣り合うをとるかのように大人しくて優等生の妹、愛、愛、と言いながら、他宗教には不寛容で息子の友達選びにもうるさい母親、そして知恵者の父親。少年Hの気の強さは間違いなく母親譲りだろう。2013/08/14

かいちゃん

36
戦争の小説はあまたあるがこういう視点でのはなかなか面白い。Hの好奇心はすごいわ。 さ、下巻へ。2022/02/07

美雀(みすず)

36
私がイメージする戦争文学と違い、深刻なストーリーばかりではなく、ユーモアを交えたものが多々あって面白い。作者が戦時中はまだ小学生だったからかもしれないが、エピソードが子供らしくてほっこりする。しかし世は戦時。だんだん不吉な文字が多くなる。ぜひ若い人にも読んでもらいたい。2015/09/28

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