出版社内容情報
清子は、暴風雨により、孤島に流れついた。夫との酔狂な世界一周クルーズの最中のこと。その後、日本の若者、謎めいた中国人が漂着する。三十一人、その全てが男だ。救出の見込みは依然なく、夫・隆も喪った。だが、たったひとりの女には違いない。求められ争われ、清子は女王の悦びに震える――。東京島と名づけられた小宇宙に産み落とされた、新たな創世記。谷崎潤一郎賞受賞作。
内容説明
清子は、暴風雨により、孤島に流れついた。夫との酔狂な世界一周クルーズの最中のこと。その後、日本の若者、謎めいた中国人が漂着する。三十一人、その全てが男だ。救出の見込みは依然なく、夫・隆も喪った。だが、たったひとりの女には違いない。求められ争われ、清子は女王の悦びに震える―。東京島と名づけられた小宇宙に産み落とされた、新たな創世紀。谷崎潤一郎賞受賞作。
著者等紹介
桐野夏生[キリノナツオ]
1951(昭和26)年、金沢市生れ。成蹊大学卒。’93(平成5)年、『顔に降りかかる雨』で、江戸川乱歩賞を受賞する。’97年に発表した『OUT』は社会現象を巻き起こし、同年、日本推理作家協会賞を受賞。’99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、’04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、’05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞を受賞した。’08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、’09年『女神記』で紫式部文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
697
第44回谷崎潤一郎賞受賞作。雑誌連載時の発表誌も「新潮」なのだが、純文学というよりは文体も内容もエンターテインメント小説。無人島に漂着した30人の男たちと、ただ一人の女の清子。男たちの過去と現在の生態を浮き彫りにしてゆく手法は巧みだ。また、同時に清子自身の揺れ動く位置と、その時々の彼女の心理を描く。また、事象が一つ変わるごとに集団の質が変化する様は、作家の豊かな想像力のなせる業だろう。ただ、エンディングにはやや不満を感じざるを得ない。これでは、まるで小説の全体が、あたかもお伽噺であるかのようではないか。2018/02/19
W-G
385
感想はマズマズ。この作品は、設定が凄く"使える"物なだけに、作者の好み次第でどういう風にも展開出来る。私としては、もっと欲望丸出しで性描写も露骨な、暗黒な物語を期待していましたが、案外常識的な展開でした。そう思うのは私だけかもしれませんが、こういうシチュエーションにしては男性陣が紳士的すぎる気がします。続けて鑑賞した映画は全然ダメで、途中で寝てしまいました。OUTもキャストは良かったのに結末の改変が残念だったし、映像化にあまり恵まれていない印象。OUTのドラマは好きだったけど。
ehirano1
333
初読みの作家さんです。驚愕しました。なんという読後感でしょうか!今までに経験したことのない読後感です。凄かったので凄かったとしか感想が書けません(泣)。2018/03/03
☆ぉりん☆
248
こんな状況になったら、死んじゃいそう私w 31人男で女は自分だけとか。しかもかなりのビックリラストだった。清子助かったんだね⁈残った人たちそのまま生き続けてて、もはや助かるとかそういうことでもなく。そんなサバイバル経験したくない。映画も観てみたい。2011/09/08
るーしあ
191
なんて過酷な舞台。46歳でありながら島には女性一人の清子。白豚でも熟女ブームの今なら普通に取り合いになるだろう。しかしこの清子がなんともしたたか。必要とあらば男達と体の関係を持つことに何のためらいもない。妊娠した子供さえ武器にする。そして決断力もハンパない。しかしこれがなければあの衝撃のラストには結びつかないだろう。その清子に比べてなんと男たちの弱いこと。と書きながら、私がこの島に漂流したなら早々に死んでいただろう。久しぶりに時間を忘れてのめり込むように読んだ小説だった。さすが桐野夏生。鳥肌モノの作品。2016/01/27