新潮文庫<br> 迷宮の月

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新潮文庫
迷宮の月

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  • サイズ 文庫判/ページ数 567p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101305288
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

白村江の戦いで日本と唐の国交が断絶してから約四十年。時の権力者である藤原不比等は遣唐使船の復活を決断し、かつて長安で留学僧として学んだ粟田真人に執節使の任を命じる。真人に託された密命ともいうべき特別な任務。それは天皇家の覇権争いと帝の立場に関わるものだった――。失敗すれば命はない。揺るぎない信念と、 任務に殉じる強い心で艱難を乗り越える遣唐使の姿を描く歴史巨編。

内容説明

白村江の戦いで日本と唐の国交が断絶してから約四十年。時の権力者である藤原不比等は遣唐使船の復活を決断し、かつて長安で留学僧として学んだ粟田真人に執節使の任を命じる。真人に託された密命ともいうべき特別な任務。それは天皇家の覇権争いと帝の立場に関わるものだった―。失敗すれば命はない。揺るぎない信念と、任務に殉じる強い心で艱難を乗り越える遣唐使の姿を描く歴史巨編。

著者等紹介

安部龍太郎[アベリュウタロウ]
1955(昭和30)年、福岡生れ。久留米高専卒。図書館勤務等を経て小説家に。’90(平成2)年、日本全史を網羅した短編集『血の日本史』でデビュー。2005年『天馬、翔ける』で中山義秀文学賞、’13年『等伯』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥

77
(2022-72)遣唐使と言うと多くは文化交流が着目されるが、本来の目的は日本と中国の外交。その外交面を中心に描いた物語。白村江の戦いで敗戦し、断絶していた唐との国交を再開するという任務を命じられた粟田真人。当然大国である唐には従いながらも自国に戻れば「対等の立場」であったようにせねばならないという超難題。いつの世も外交と言うのは大変だ。実際にこのような策略があったかはわからないが、想像することが面白い。戦後の日中国交正常化に於いてもさまざまな駆け引きがあったのだろうなぁ。★★★★2022/10/28

NAO

68
大宝年間、遣唐使派遣再開を託された官吏の波乱に満ちた大陸滞在を描いた歴史小説。苦難を乗り越えて何とか唐にたどり着いてみるとそこはなんと則天武后という女帝が君臨する武周。則天武后の末期、李王朝に戻そうとする者たちの動きが活発化しきな臭くな李始めている長安で主人公が陰謀のただ中に巻き込まれていくのだが、ちょっと身びいき過ぎる展開。遣唐使といえば、鑑真の渡航のように、大海原を突き進むイメージしかなかった。それ以前の航海、一度途絶えて再開することになったときの苦心惨憺など、知らなかったことが多かった。2024/03/03

エドワード

34
中国という国は、古代から現代まで、中華たる自国は世界の中心という思想を捨て切れないようだ。8世紀初頭、遣唐使が送られる。日本の目的はただひとつ、対等外交だ。執節使として、白村江以来絶えた国交を回復する使命を帯びた粟田真人の運命やいかに!誰が味方で誰が敵か。還暦を過ぎた真人が、官僚や宦官たちを相手に鋭い頭脳戦を繰り広げる様が痛快だ。則天武后が君臨する唐王朝も権力争いの只中。儀式を見て、武后が偽物ではと疑う真人は、武后の娘・太平公主を味方につけて使命を果たそうとするが…。映画のような大ロマン、堪能しました。2022/11/20

Y.yamabuki

16
こんな展開になるとは!真人にこんな一面があるとは!困難を乗り越えひたすら前に進む、ある意味静かな中盤までからは想像できない以降の展開。密命を達成するための駆け引きが始まる。打って変わったスリリングな状況にハラハラ。白村江の戦以来途絶えた、関係の復活を任務として唐に渡った粟田真人と使節団を描いた作品。この時代に危険を侵してまで海を渡り政治的目的は素より、大陸からの制度や文化を採り入れようとした当時の人々の熱量に圧倒される。今の日本の礎を築いてくれたことに感謝の気持ちが湧いて来る。2023/04/06

シュラフ

14
白村江の戦いにより断絶した唐(唐の滅亡により大周)との国交を回復した粟田信人の活躍。唐と日本の圧倒的な国力差に加えて、対等な国交回復という難問を背負っての外交。使命感と胆力をもって相手と渡り合う場面に、読み手として引き込まれる。「万全の支度をして船を出したり砂漠に足を踏み入れたりするが、絶対に安全だという保証はない。だから信用できる相手だと見込んだなら信じるしかないと、陽大は涼しい顔で言い切った。」交渉相手と真摯な議論を行い、相手が信用できると思ったら、腹をくくって相手を信用して託す、ということしかない。2024/06/30

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