内容説明
よくも殺しやがって。苦しかったやないか―それは、自分の声だった。自分が切断した土師淳君の首が、自分の声を借りて叫んでいるのだと、少年Aは思った。あそこにおったから悪いんや―そう言い返した少年Aは、果して狂気の中にいたのか?あの連続児童殺傷事件は、単に「異常者」の引起した「特殊な犯罪」にすぎないのか?丹念な取材を通じて、時代の深層を浮彫りにしてゆく。
目次
第1章 透明な存在
第2章 警察のない街
第3章 流言飛語
第4章 聖なる場所
第5章 風葬の島
第6章 家族の神話
第7章 動機
第8章 迷宮の森
著者等紹介
高山文彦[タカヤマフミヒコ]
1958(昭和33)年、宮崎県高千穂生れ。学生時代は探検部に所属。’95(平成7)年と’98年の二度にわたり雑誌ジャーナリズム賞の作品賞を受賞。’99年刊の『火花 北条民雄の生涯』で大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞を受賞。他の作品に『いのちの器』『『少年A』14歳の肖像』『運命(アクシデント)』『愚か者の伝説 大仁田厚という男』など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ろくせい@やまもとかねよし
176
97年の神戸児童連続殺傷事件レポート。98年10月発行の単行本の文庫版。凄惨で利己的でしかない犯行。しかも中学生男子が単独実行。本書は、犯人が中学生だと分かるころから、出来合い犯意ストーリーが意図的な警察リークで世論形成され、司法判断が下ったと批判。犯行動機を明らかにできなかったと。明治以降、社会は劇的に変化した。それらを背景視点に、数世代前の出自や社会環境を取材し考察。自由経済で高度に成長するなか、都会に築かれた進歩的と称する社会主義的ニュータウン。それが産み出した無責任な個人の堕落と頽廃が遠因と表す。2020/11/09
いしかわ
44
今まで読んできたルポの中で、ダントツに読みづらい。必要性を感じないような、回りくどさも多々。けど、小説の中で初めて知るような事件の意外性もあり、興味深く読めた。凄惨な描写が多いので、眠る前に読んだことを後悔。他のルポでは、読了後 犯罪者の深層心理というものの一欠片を摑んだような感覚になり、理解をしようと努力していたが、今回の このルポでは 全てが濁っているようで奥は何も見えないままだった。2014/03/30
James Hayashi
30
祖母の死、阪神大震災、オウム真理教事件などの大事件が続き母との対立。しかし原因不明。本人も理由づけは難しい快楽殺人。考えるのは少年法、更生と保護者としての責務。医療少年院を出たとのことだが、被害者への謝罪や償いの意識は如何程あるのだろう?性がらみの犯罪者は繰り返すというが、少年Aはどうであろう?また保護者としての償いはどの様な形でどれぐらいの期間必要なのか?それにしても少年Aの父親の出身地まで取材することは正しく必要があるか?行き過ぎなマスコミ。2017/12/12
金吾
12
△事件自体は非常に印象的なものでしたので、新しい視点が得られることを期待していましたが、そこまでではなかったです。自身の仮説を思い込みで強化した話のように感じました。ただ少年法への疑念は深まりました。2020/07/08
♪mi★ki♪
11
さっさと殺処分でおk。
-
- 洋書
- Judas Goat