出版社内容情報
中村 智志[ナカムラ サトシ]
内容説明
事業の失敗を、なぜ社長が命で償わねばならないのか。心血注いだ会社の倒産と深刻なうつ病を乗り越えた佐藤久男は、NPO法人を立ち上げた。自殺率ワーストの地で、民・学・官の連携により自殺者数を半減させた活動は秋田モデルと呼ばれ全国に影響を与える。絶望し、駆け込んでくる人の心に笑顔と言葉で灯をともす男を描く「生きる支援」のルポルタージュ。
目次
第1章 針の穴ほどの光を
第2章 また来週会いましょう
第3章 終着駅は始発駅
第4章 暗夜を憂うること勿れ
第5章 ゆっくり、きっちり、じっくり
第6章 魔の活断層
第7章 灯台になる
第8章 被災地へ
第9章 花
第10章 絆館
著者等紹介
中村智志[ナカムラサトシ]
1964(昭和39)年、東京都生まれ。上智大学文学部卒業後、朝日新聞社入社。「アサヒグラフ」「ASAHIパソコン」編集部、東京本社社会部、「週刊朝日」編集部、教育総合本部などを経て、2017(平成29)年4月より日本対がん協会勤務。1998年、『段ボールハウスで見る夢』で講談社ノンフィクション賞を受賞。2014年、『あなたを自殺させない』(文庫化にあたり『命のまもりびと』と改題)が城山三郎賞にノミネートされた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
68
自らNPO法人を立ち上げ、自殺防止活動を行っていらっしゃる佐藤さん。壮絶なエピソードが次々と語られるが、それを受け止めてこられたのも佐藤さんご自身がどん底を味わった経験があるから。そのご人徳には尊敬の念しかわかない。同時に行政ではこういった草の根的な活動ができない現実に憤りも憶える。2017/06/04
to boy
39
驚きのノンフィクション。秋田を中心に自殺防止に取り組んでいる佐藤さん。自身の倒産の経験から経営者の自殺を防ぐ活動に取り組むことに。地域の雇用・経済に貢献してきた中小企業が倒産しとことで経営者が自殺することの不条理を何とかしようとNPOを立ち上げ活動。沈んだ太陽が下から雲を輝かせるように、残りの人生の残照で世の中の役に立ちたいという思いに心打たれました。これは多くの人に読んで欲しい一冊。2018/07/01
西
28
傾聴の本を読んだときに学んだことを、この方は見事に実践しておられる。人に相談された時に、いかに良い答えを返すかにとらわれてしまっている自分に気付かないといけない。自己満足には決してならず、相手の気持ちに寄り添うこと。相談ごとではなくても、人の話をさえぎらず否定せず聞くことからまずは始める。2017/08/20
白ねこ師匠
24
[★★★☆/◯]秋田県を拠点に長く人々の悩み相談のボランティアを続ける佐藤氏のルポ。ご自身もかつて経営する会社の倒産があり、自死の一歩手前まで心が追い詰められる経験を持つ。まず自殺を考える人の相談相手になろうという姿勢からして尊敬。自分だったら重圧すぎて行動を起こせないと思った。また傾聴の姿勢にも敬服する。私も自分では部下の話をよく聞いてる自覚があったが、「気がついたら2時間が経過」する氏に比べたらまだまだだと知る。学びの多い読書だった。2024/12/23
たか
14
自己の辛い経験を踏まえて、秋田県の自殺者を一人でも救うために、奔走した人の人生。 どんな辛いことや苦しいことかあっても自殺してはいけない。 生きてさえいれば、必ず希望がある。 人を助けることはまさに社会貢献。見習いものだ。2017/07/18