内容説明
娘が、親の知らぬまに妻子ある男性とマンションを借りていた。突然来たダブルベッドの配送確認からそれを知った父親は、早速マンションに乗込むが…。度々の衝突、葛藤、懊悩の果て、父親は、蛇蝎のように憎んでいた相手の男に奇妙な共感と友情を抱くようになる。男が誰でも自分の中に飼っている一匹の“虫”をめぐり、一つの事件の顛末を克明に描いた表題作など全6編を収録する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おさむ
35
30年以上前の昭和の香りやあふれる脚本集。向田さんの物語が今なお心に響くのは、酸いも甘いもかみしめた人間をしっかり描いているからなのでしょう。スマホやネットが登場しなくても、ドラマは面白くできる証左ですね。私の場合、表題作は田村正和と小澤征悦のコンビで演じていたのが記憶に残っています。2015/11/06
ひじき
17
1970〜80年代にTBSやNHKで放映された6本のドラマの脚本集。向田邦子はエッセイもいいけれど、脚本もほんとうに素晴らしい。どのセリフもト書きもぎりぎりまで削ぎ落とされて無駄がない。それでいてユーモラス。肝心のときにおかしなこと理屈にあわぬことをしてしまう男たち女たちが温かい目で描かれる。表題作では、父親は蛇蝎のごとく憎むべき娘の恋愛相手に不思議な親しみを感じてしまう。まるで弟か息子のように。向田作品ではよくこうした疑似家族的人間関係が描かれる。家族ってなんでしょうね、と問いかけているのかもしれない。2016/09/08
kikizo
0
表題の作品を含む6作の作品集。長編だと思っていたのでちょっとびっくり。登場人物も少なく会話のテンポもいい。読みやすいです。2014/12/15
丰
0
Y-202006/03/28