新潮文庫<br> 愛に乱暴〈下〉

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新潮文庫
愛に乱暴〈下〉

  • 吉田 修一【著】
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  • サイズ 文庫判/ページ数 240p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101287577
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

不倫を清算できない真守。そんな折、婚家の祖父が離れに住まわせていた時枝という女の不遇の生涯を聞く。桃子は、離れの床下に異常な興味が湧き、思わぬ衝動買いに走る。一方、身重の不倫相手・三宅奈央との再婚を望み帰宅を拒む真守に桃子は呆れ、遂に奈央に直談判を試みるが、出産の決意は固く、義母までもが桃子の様子が変だと態度を変えてきた。予期せぬ結末へと疾走する愛のドラマ。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yoshida

187
突然に迫られる離婚により壊れていく桃子。お互いの家族を巻き込んでの修羅場。私も離婚しているので、この重苦しい空気や、様々な修羅場、追い詰められた人間の取る異常な行動を思い出した。やはり一度築いた形を無くすには相当のパワーがかかるもの。読んでいて気付いたのは、真守が過去にも同じ事があったこと。罪深いし彼は繰り返すのかも知れない。離婚の原因はそれぞれ。お互いにしか分からない。ラストの場面で桃子が正気を取り戻し救いをみる。自分の経験を思い出しやりきれない気持ちになった。結婚は慎重に。ラストに救いがあり良かった。2018/09/11

hit4papa

119
後半は、早々に、そうか桃子って!が判明します。なるほど、この構成に仕掛けがあったのか、とつらつらと読み進めていた読者は、読み返さなければならないでしょう(自分だけか)。義母も徐々に真守の味方をするようになり、桃子の非をあげつらいます。あげく、義母は、桃子に怯えを抱くようになるのでした。義母とのバトル勃発で、行き場を無くした桃子。本作品は、桃子と義母の関係性の変化も見所です。桃子の過去が分かるあたりから、これまでとは違って見えてくるのです。ラストは、チェーンソーを持って「乱暴」・・・とはなりませんでした。2019/12/05

じいじ

115
かなり乱暴な夫婦の話ですが、吉田修一ならではの巧さが際立った面白い小説でした。下巻では、嫁と姑の微妙な関係、とりわけ姑の白白しい二枚舌に苛立ちます。そして、もうひとり優柔不断な男(亭主)は、断じて好きになれませんが、妻の詰問調に畳みかける性格はめんどくさいです。私の結論―この家庭崩壊の元凶は姑にあります。そして、その原因は、マザコン亭主が嫁と姑の衝突・対立時に100%、姑の立場でしか考えられないところにあると思います。余韻を残す読後感、嫁の未来に「幸あれ」と祈りたい。2018/08/04

Yunemo

108
全く読み違いしてました。一人語りの日記に翻弄されて誤解釈のままに。それから、表紙の桃子と思われる人物画、この表情がそのまま上と下との違い。気持ちが表われるこの表情通りの展開になってます。著者の想いの中に、本作に過去は繰り返すという概念も意識的に入れられてるのかな。どうもそれぞれの人物が過去からの甦り的にも解釈できるし。また壊れる寸前の人間の意識がどんなものか、ここまで行かなくとも、自身も含めて生きてる人たちすべてが、一つの経験値として持ってるものかもしれません。何てことを漠然と頭の中に残したまま読了です。2018/03/18

りゅう☆

101
夫の浮気相手が妊娠してから夫は帰ってこない。桃子と別れて新しい家族を築きたいと言う。もう本当に本当にイヤな気分。なんで別れなきゃいけないの?義母と夫の話を床下で聞く。床下?浮気相手の日記だと思ってたら…。確かに浮気相手だけど。夫から聞き出した桃子への不満。ほんっとにふざけんなって感じ。テメーの下半身の緩さがそのまま自身の甘さじゃないの?ムカつく!不幸になれ!桃子は壊れたの?私はそう思わない。妻として桃子を自分と重ねてしまう。だからこそ今後の人生、幸せを掴んでほしい。大丈夫、見てくれてる人は分かってるから。2020/11/04

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