出版社内容情報
家永第三次訴訟、新編日本史、新しい歴史教科書、沖縄戦検定問題…。昭和から平成にかけ、日本史教科書検定に長年たずさわった元教科書調査官の回顧録。小中高の教科書として適切かを調査する検定現場の実態や文科省・審議会の内部事情を初めて公にする。検定関係文書の存在も明かし、歴史教科書をめぐる一面的な議論に一石を投じる注目の書。
内容説明
日本史教科書検定をめぐるさまざまな問題に長年かかわった元調査官の回顧録。教科書として適切かを調査する検定現場の実態や文科省の内実、検定関係文書の存在を初めて公にする。教科書問題に一石を投じる注目の書。
目次
日本史教科書検定三十五年(教科書調査官就任まで;教科書調査官に就任;教科書調査官という身分 ほか)
解説(教科書と教科書検定の制度について;照沼康孝氏のこと―その人と学問)
私が体験した教科書検定―照沼氏の回顧録に寄せて(多難の昭和末期;調査官照沼弘孝の登場;照沼先輩と私の世紀末職務覚書 ほか)
著者等紹介
照沼康孝[テルヌマヤスタカ]
1952年、東京都に生まれる。1983年、東京大学大学院博士課程単位取得満期退学。元、文部科学省初等中等教育局主任教科書調査官(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Go Extreme
2
心得から正式職名へ 体重大幅減少 白表紙本と修正表審査 紐綴じの原議書 行政処分としての検定意見 秋の検定調査審議会 稀少な意見申立書 侵略から進出への置換 支援団体で溢れる傍聴席 初登場の従軍慰安婦 集団自決記述問題 右派から問題視される戦争記述 検定情報公開の要求 議員連盟からの圧力 困った時の照沼さん 人間修行の場 ダブルスタンダードへの違和感 十数箱の内部資料 耳新しい歴史総合 南京大虐殺の記述問題 つるし上げられる審議官 沖縄戦跡での思い 知的モラルに基づく業務2025/05/09
RedDirtMarijuana
1
著者は就任早々第三次家永裁判に関わり、つくる会と併走した人。昨日訃報が出ていた。葬儀は今日らしい。憂いていた「照沼文書」の行方はどうなるのか。 制度改革によって行政処分という点が明確化したためより検定に抑制が求められるようになったり、過去に一度検定を通過した記述は行政の一貫性の都合訂正を求められなかったりと、報道からはみえない役人の苦労が窺える。そんな中、検定したつくる会の教科書について感想を漏らすのが印象的。曰く、戦争について責任転嫁ばかり、日本が「なんとなく情けな」く見える「逆の意味での自虐史観」。2025/06/12
みんな本や雑誌が大好き!?
1
著者は東大文学部卒。大学院でも学んでいます。伊藤隆さんのゼミの出身者。大学教員を目指し公募に応募しても不採用続き。恩師から文部省の教科書調査官になる気はあるかとの打診を受けます。1983年・昭和58年4月のことです。 結局、照沼さんは調査官として定年まで勤めることになるのですが、「デモシカ先生」ならぬ「デモシカ調査官」を自認したり、調査官になる前の教科書の「侵略進出」記述変更云々報道にもあまり関心はなかったとか、と述べているあたり、ちょっとイマイチかなとも感じないでもありません。2025/05/07