新潮文庫
雨恋

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  • サイズ 文庫判/ページ数 353p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101280523
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

ある晩、マンションの居間で彼女は語りだした。「わたしは幽霊です。そういうことになるんだと思います」。OL・小田切千波は自殺したとされていた。だが、何者かに殺されたのだ、と訴えた。ぼくは彼女の代わりに、事件の真相を探ることにする。次々と判明する驚愕の事実。そしてぼくは、雨の日にしか会えない千波を、いつしか愛し始めていた。名手が描く、奇跡のラブ・ストーリー。

著者等紹介

松尾由美[マツオユミ]
1960(昭和35)年、金沢市生まれ。お茶の水女子大学卒。OLを経て作家になる。’89(平成元)年に『異次元カフェテラス』を刊行。’91年「バルーン・タウンの殺人」でハヤカワSFコンテストに入選する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

chiru

68
渉が越してきたマンションには仔猫のほかに『幽霊』の女の子がいて、渉に自分の死の真相を解明してほしいと依頼します。 謎解きよりも、ふたりの気持ちが少しずつ近付いく過程のほうに魅力があると思う。 真相が明らかになるということは別れを意味する。 ふたりがベッドで朝まで過ごす最後の時間…とても切なかったです。 ★42018/02/08

ジンベエ親分

45
自殺ということになってるが、実は自分は殺された、と主張する若い女の幽霊と同居する男が、彼女の死の謎を探り、また彼女に恋をする、という話。彼には最初、彼女の姿が見えず、ひとつ謎が解ける度に脚から徐々に姿が見えてくる、という設定が面白い。「恋」の方は、必然的に彼女の顔まで見えた時が別れの時、ということになるので、終盤は加速度的に切なくなる。首なしの彼女が服を脱ごうとしてそれが不可能だと分かる(幽霊だから)シーンは、こう書くとコミカルなシーンにしか思えないだろうけど(笑)、本当に切ない。そしてラストは名シーン。2017/09/30

ゆきちん

44
初読みさん。海外赴任する叔母のマンションにお留守番住みする事になった30歳の渉。頼まれたのは二匹の猫の世話。でも猫だけでなく、雨の日だけに姿をあらわす24歳の女の幽霊が住み着いていて、自殺と言われているが本当は殺されたのだと言う…謎が解けていくごとに足から姿が見えて来て、恋心が芽生えてくる。最後には…というお話なんですが、これはロマンチックなのか?幽霊ってわかってて?切ないの?いやーないわー…2016/11/23

とも

38
★★★★彼女は幽霊である、会えるのは雨の日だけ、初めは声しか聞こえない、どうやら殺されたよう等々、シチュエーションは奇を衒うものでありながら、すんなりと物語に入り込めるのは作家の力量か。結末はある意味予想通り。ただ最初から最後まで一貫、しっとりやさしい雨音をBGMにが、ゆっくりと静かに流れていく。2014/04/30

エンリケ

36
雨の日にしか会えない男女の淡い恋物語。と言っても足から徐々に姿が見えて行く女性の幽霊との奇妙な同居生活。シュールなシチュエーションにはちょっと笑ってしまう。地縛霊の女性の為に骨を折る内容には既視感が有るが、彼女を殺した犯人を探っていく過程は面白く、異色の推理小説を読んでいる気分だった。二人は一見大人の会話を冷静に交わしている様。でも実は両者ともかなり地味でリア充とは程遠い感じ。彼らが出会うのがもう少し早ければ、と思わずにはいられなかった。犯人が判る時が別れの時。ジレンマを抱えつつ奔走する様は切なかった。2016/01/31

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