新潮文庫
偏愛記―ドストエフスキーをめぐる旅

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  • サイズ 文庫判/ページ数 294p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101275314
  • NDC分類 980.28
  • Cコード C0195

出版社内容情報

1984年、ソ連留学中にかけられたスパイ嫌疑から、九死に一生を得ての生還――。ロシア文学者によるスリリングな自伝的エッセイ。

2008年、モスクワ・クレムリン宮殿最大の広さと威容を誇る純白の大広間。ロシア語とロシア文化の普及への貢献を理由にメダルを授与されたわたしは信じられない思いだった。かつてソ連留学中にスパイ容疑で尋問を受け、死ぬほどの苦しみを味わったわたしが、なぜ――。ドストエフスキーの作品と生涯に、自身の葛藤を重ねた自伝的エッセイ。『ドストエフスキーと59の旅』改題。

内容説明

2008年、モスクワ・クレムリン宮殿最大の広さと威容を誇る純白の大広間。ロシア語とロシア文化の普及への貢献を理由にメダルを授与されたわたしは信じられない思いだった。かつてソ連留学中にスパイ容疑で尋問を受け、死ぬほどの苦しみを味わったわたしが、なぜ―。ドストエフスキーの作品と生涯に、自身の葛藤を重ねた自伝的エッセイ。

目次

二〇〇八年十月、モスクワ、ロシア国立外国文献図書館
二〇〇七年二月、モスクワ、トヴェルスカヤ通り十二番
二〇〇一年九月、ザライスク、ダロヴォーエ
二〇〇一年九月、チェルマシニャー
二〇〇九年一月、東京、日仏会館
一九六三年八月、宇都宮
一九五七年二月、宇都宮
一九六六年十月、宇都宮
一九六八年五月、東京、西ヶ原
一九六八年六月、東京、西ヶ原〔ほか〕

著者等紹介

亀山郁夫[カメヤマイクオ]
1949(昭和24)年栃木県生れ。名古屋外国語大学長。東京外国語大学ロシア語学科卒業、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。2002(平成14)年『磔のロシア』で大佛次郎賞、’07年新訳『カラマーゾフの兄弟』で毎日出版文化賞特別賞、’13年『謎とき『悪霊』』で読売文学賞研究・翻訳賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

翔亀

41
軽いエッセイ風の自伝&旅行記の形をとりながら、予想外に重い。「世界がドストエフスキーだけでは寂しすぎる」と呟きながら仕事先のパリで「罪と罰」の翻訳に赤を入れる著者は、絵に描いたような文学少年時に読んだ「罪と罰」の恍惚と恐怖を思い返す。全共闘の真っただ中にも日和見で過ごした大学時代に読んだ「悪霊」。それが連合赤軍の醜悪さと重なり、ドストエフスキーと決別する。スターリン時代の知識人の二枚舌の研究で鍛えて30年ぶりに、戻ってくる。そしてカラマーゾフの翻訳。自らの半生とドストエフスキーが交錯して、これは小説か。2014/08/14

テツ

20
ドストエフスキー作品の翻訳や回線でお馴染みの亀山郁夫さんによるドストエフスキーについての語り。読み進めるうちにタイトルの『偏愛記』の意味が痛いほど理解できる。翻訳作業に必要なのはそれぞれの言葉を明確に変換できる言語能力だというのは当然だけれど、亀山さんくらいに作品(と作者)に入り込んでいると、そうした熱量のない方が翻訳した文章よりも面白く読めるような気がします。人生を通してハマる存在を見つけられるって幸福なことなんだろうな。2022/05/23

武井 康則

12
「カラマーゾフ」を訳し終えた著者が、ドストエフスキー体験の総決算として書いたのだろう。出会い、学生時代の格闘、別れそしてもう一度の挑戦とドストエフスキーを巡った時間と場所を思うままに語る。なぜそこまでドストエフスキーに惹かれるのか、冒頭で匂わせながらやがて韜晦してしまう。本書は本文中にあった、自分にまつわる小説なのではないか。そしてやはり書ききることができなかった。たぶん「父殺し」にまつわるのだろう。これは紀行文でも随筆でも回顧でもない。筆者の語れる真実であって、事実ではないのではないか。そんな気がした。2021/12/29

Nobuko Hashimoto

12
ドストエフスキー作品の謎を解く過程と、著者の体験や家族との思い出が絡まり合って語られていく。20年以上前に受けた授業での先生の声や語り口が思い出されて、ミステリアスで、ちょっとナルシシスティックな雰囲気に浸った。高校のときロシア文学と出逢って、進学先にロシア文学の授業があると知り、先生の授業を楽しみにしていた。最前列に座って、先生の声とお話の内容にうっとりと聴き入ったなぁ。気づけば、そのときの先生の年齢を超えてしまった。あんな風に惹きつける授業、まだまだできてないなぁ…2014/12/20

onaka

9
とっつきにくいドストエフスキーも亀山さんの翻訳でなんとか読破できた。その亀山さんの自伝的なエッセイ。時間的に行ったり来たりする構成だが、パズルの解答がじんわり見えてくる効果を与える。主軸はやはり「父殺し」のモチーフ。繰り返し言及されながら、ドストエフスキー作品における普遍性と、亀山さん自身の個人的経験の深さが、徐々にクロスオーバーして、まさに文学に生きる亀山さんの息づかいが聞こえてくるよう。100%までシンクロはしないが、とりあえずあっぱれ!2014/04/28

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