内容説明
忙しくてデートも出来ないサラリーマンの僕、バイト先の人気者に恋する俺、芸術家の彼の作業を日がな一日眺めるわたし、祖母と慌しいひと夏を過ごすオレ…。過ぎ去りゆく日常の一瞬、いつか思い出すあの切なさを、瑞々しい感性で描き切った7つの「ピュア・ストーリー」。兄の入院する病院への道行きを小学生の目線で捉えた表題作他。同世代の圧倒的共感を呼ぶ三島賞作家、初の短編集。
著者等紹介
鈴木清剛[スズキセイゴウ]
1970(昭和45)年神奈川県生れ。文化服装学院卒業。’97(平成9)年『ラジオデイズ』で文芸賞、’99年『ロックンロールミシン』で三島由紀夫賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
125
以前にこちらのレビューにて気になり、読み始めました。とても不思議な‘空気感’を残す7作からなる短編集です。面白いとか感動するとかではなく、とても平坦な感じのなんの波もない空気感が、ある意味醍醐味なのかもしれません。初読みの作家さんなので、なんとも言えませんが多分、他の作品も同様の空気感が保たれているのでしょうね。そもそもがショート集なので、ココロに残る作品は正直限られており、好みが分かれるところかとは思いますが、たまにはこういったナチュラルな短編集を読んで、ココロをフラットにするのもいいかもしれません。2014/09/21
ぜんこう
12
7編の短編集。なんか不思議と読みやすくて…たまにイラッとする会話もあるけど…読後感もいい。ただ、後にあまり残らないなぁ(^_^;) でも、こういうの嫌いじゃない(^^)2015/08/21
林 一歩
12
リズミカルな文体ではある。ただそれだけの退屈な短編集。2013/03/18
きょん
7
消滅飛行機雲。なんとなくこの響きと字面で手に取りました。若くて、鮮やか。そんな短編集。2022/06/10
リトルリバー@中四国読メの会参加中
4
作者の書く日常の風景が好きだ。正面切って「青春」といえるほどの自信はない。大きなことは何も起こらない、そんな退屈な日々の切なさというか愛おしさというか…。ただ、短編集なので同じ雰囲気ばかりでは食傷気味かと思いきや、そうでもなかった。7つの短編を描き分けていて、どの話にも飽きを感じなかった。特に好きだったのは「人生最良のとき」。新米社会人がひきこもりになる様を描いてるのだけど、それがあまりにストイックで笑えてしまう。もしかしたらあった(これからある)かもしれない、自分を見ているようでちょっとこわい。2015/02/05