内容説明
誰にでも、いつかは必ずやってくる人生の終わり。旅立ちの手助けを生業とする人たちがいる。葬儀社社員、湯潅師、納棺師、復元師、エンバーマー、火葬場職員…。なぜこの職業を選んだのか。どんな思いを抱いて働いているのか。忘れられない経験とは。著者は、「死」と向き合うプロたちの言葉に耳を傾け、葬送の現場を見て歩く。光があたることのなかった仕事を描破した感動のルポルタージュ。
目次
第1章 「葬儀のプロ」を志す若者たち
第2章 それぞれの「葬儀屋稼業」
第3章 湯潅・納棺・復元の現場
第4章 エンバーマーたち
第5章 火葬場で働く人々
第6章 「超多死社会」に向けて
著者等紹介
井上理津子[イノウエリツコ]
1955(昭和30)年、奈良市生れ。フリーライター。京都女子大学短期大学部卒。タウン誌記者を経てフリーに。人物ルポや旅、酒場をテーマに執筆してきた。2010(平成22)年、長く暮らした大阪から、拠点を東京に移す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
むーちゃん
129
簡単に言うと 映画「おくりびと」の世界。いろいろ考えさせられました。私自身も、親父と妹を送った身として、死はどんな人にも必ずやってくるもの、また死ぬ時は、どんな人も平等という記述のところが印象深いです。 あと、エンバーミングという言葉もはじめて知りました。ためになりました。2020/12/26
新地学@児童書病発動中
98
人間の死と向き合って働く人々の姿を、印象深く浮かび上がらせる素晴らしいノンフィクション。これはお勧め。死ぬことはやはり恐ろしい。しかし、本書に書いてあることを読むと、その恐ろしさが劇的に和らげられる。死体を物扱いせずに、ご遺体と呼んで声をかけながら仕事をしていく人たちの優しさと思いやりに、読みながら涙がこぼれた。もちろんここに描かれているのは良い面が多くて、もっと事務的に仕事をする人たちもいるのだろう。それでも自殺して異臭が漂う人物の死体の外見を改善しようと力を尽くす人々が、間違いなく存在するのだ。→2018/03/02
青蓮
97
誰にでも訪れる死。その最後を厳粛に整えて故人を送り出すプロ達がいる。本作は葬儀社社員、納棺師、エンバーマー、火葬場職員に焦点を当てたルポ。人の死に立ち会うことの壮絶な経験を読むと死に関わる彼、彼女達は物凄く重たいものを背負っている事を知る。葬送のプロだからこそ語られる死と生への思いに何度も涙が滲んだ。葬儀界の実情や葬儀の宗教的、民俗学的背景、エンバーマーの成り立ち、火葬は点火ボタン1つ操作すれば終わりではない事等、とても興味深い。葬送のプロ達には頭が下がる。彼等がいるからこそ安心して故人を見送れるのだ。2018/06/16
kinupon
68
いつも死と隣り合わせでいる仕事師たちには頭が下がります。もう一度死について考えなければ。2019/11/05
大阪魂
66
島田さんの「葬式はいらない」読んだらぼったくり葬式なんていらんって気になるんやけど、でも身近な人が亡くなった時、哀しみの踏ん切りつけるためにやっぱ葬式いるよーな気もするし…そんな中、葬式に関するいまの動きを、葬送に携わる職業の人たち、葬儀社社員、納棺師、エンバーマー、火葬場職員などの紹介ってかたちでわかりやすく書いてくれはった本。一般葬から家族葬・直葬。通夜のない「一日葬」、立体駐車場方式のお墓などの「合理化」、結婚式みたいに感動イベントにする「感動化」などの動き。多死社会の中、もっと動きあるんやろなあ…2022/02/10