出版社内容情報
今なお遊郭の名残りを留める大阪・飛田。この街で生きる人々を十二年の長きに亘り取材したルポルタージュの傑作。待望の文庫化。
「おにいちゃん、遊んでいってや」客引きのおばちゃんの手招きで、男が一人、また一人と店に上がる。大阪に今なお存在する「色街」飛田。経営者、働く女たち、客、警察、ヤクザらの生の声に耳を傾け、「中」へと入り込んだ著者が見たものは、人間の性むき出しの街で懸命に生きる人々の姿だった。十二年にわたる取材により、一筋縄ではいかないこの街を活写したルポルタージュの傑作。
内容説明
客引きのおばちゃんの手招きで、男が一人、また一人と店に上がる。大阪に今なお存在する「色街」飛田。経営者、働く女たち、客、警察、ヤクザらの生の声に耳を傾け、「中」へと入り込んだ著者が見たものは、人間の性むき出しの街で懸命に生きる人々の姿だった。十二年にわたる取材により、一筋縄ではいかないこの街を活写したルポルタージュの傑作。
目次
第1章 飛田に行きましたか
第2章 飛田を歩く
第3章 飛田のはじまり
第4章 住めば天国、出たら地獄―戦後の飛田
第5章 飛田に生きる
第6章 飛田で働く人たち
著者等紹介
井上理津子[イノウエリツコ]
1955(昭和30)年、奈良市生れ。フリーライター。京都女子大学短期大学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
454
【遊廓部関連図書】飛田と直接関わりのない著者が、興味本意で書いたドキュメンタリーということで、薄皮の上からなぞるような作品という印象が否めない。取材の仕方も行き当たりばったり的な。それを差し置いても、読み終わってはぁぁぁ、と思わずため息の出る内容。批判を恐れずに言えば、飛田という街並みや情緒、個人的には存在し続けて欲しいのだけれど、「街」として生き残るのは難しいのかな。2018/12/10
むーちゃん
129
葬送の仕事師たち からの繋がりで本書へ。 飛田は一回だけ足を踏み入れたことが。(そういうサービスのところではなくほんとに散歩)朝(早朝)から飲んでる人が普通にいたのが印象的でした。 作者もあとがきで言ってましたが、お金を落とさずら冷やかしだけでは、行かないでと。 いろんな事情、いろんな人生が剥き出しな街なのかな。 2021/01/05
団塊シニア
71
丹念な取材力熱意には圧倒される、風俗の歴史の一面を感じる内容であるが全体像が見えにくい、本来深い世界だと思うが12年の取材の割に読みにくさを感じる内容が随所にあったのは残念。2015/05/01
ぷっくん
51
飛田新地という言葉、聞いた事がありどんな物かと興味を持ち読んで見ました。長い歴史の中で今でも続いてるのはそこでいろんな理由をもち生きている人達がいるからという事。リアルな女性の話がもっと知りたかったけど飛田周りの人達の話が多いので途中から流し読みしましたが、飛田新地を女性の作者が1人で取材をしていく根性には驚きです。大阪の街が好きなので時代を感じられる本でした。2015/08/06
リキヨシオ
50
通天閣の周辺は訪れた事はあったけど…その南側に「飛田新地」という異界の色街が存在する事すら知らなかった。そこは大阪の中でも異色の領域、この「飛田という場所」で生きるのは大阪の人ではなく、まさに「飛田の人」。飛田はまさに「取材をしてはいけない所」…そんな場所を著者自ら12年にわたる体当たり取材により、飛田の現在、遊郭としての歴史、料亭の経営者、売春によって働く女とお客…そして取り締まる立場なはずの警察、飛田とヤクザの関係など「さいごの色街・飛田」の様々な側面が述べられた傑作ルポタージュに仕上がってる。2016/01/14