感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sasa-kuma
17
散文的、詩的な小説、そして私小説的でもある。作中の美しい姉と母は和子さんとあぐりさんを思うし、空想の中の兄は淳之介氏を重ねてしまう。華やかな印象の家族の中、理恵さんだけが異質だったのか?でも、家族に大切にされていた印象もまた強い。不思議な魅力のある人。2018/01/18
佐島楓
11
愛情と背中合わせのコンプレックス、猫、残酷な内面・・・繊細な、作中作と作中のすべてが溶けてしまうような、不思議な読後感の小説。芥川賞をおとりになった作家なのに、今では古本屋さんに行かなければほとんどの小説が入手できない。それを残念に思う。すべての作品を拝読してみたい。2013/04/19
kinshirinshi
8
兄姉の吉行淳之介さんや和子さんに比べると、理恵さんはとても地味な印象。でも私は、無類の猫好きで生涯独身だった彼女に、一番親近感を抱いてしまう。とはいえ、彼女の作品は決してリーダビリティが高いわけではない。この作品も、語り手の「私」と、「私」が作中で読む本の主人公(かつ筆者)である「冴」が、メビウスの輪のようにつながりあい、女性の人生の断片を素描していく。そのそばにいるのは、男性ではなく、いつも猫。淡々と語られる物語は、ちょっと寂しくて、不可解で、いつまでも心に残る。2022/02/27
アレカヤシ
2
沢山でてくる死は逃避ではないけど、なぜか(救い)という言葉が思い浮かぶ。頁に作者の魂がぴったりはりついているような本。自分ととても近い性質を作者に見つけて、共鳴する。自分には何の才能もないけど。いつ読み返しても好きな本。 「タドンの暗い眼を視ていると、私の気持ちまで滅入ってしまうわ。タドンは遠い星から来たので、そんなに暗い眼をしているの?」65頁2018/05/01
カジ
0
古本屋さんにて表紙になんだか惹かれて購入。夢の断片をみているようだった。2018/02/24
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