内容説明
言葉は事実を表すための単なる記号ではない。そこには必ず魂が込められている。いのちを失った言葉は壊れ、そこに暴力が生れる。―若き日に出会った本の中の心を揺さぶる一行、医療現場で耳にした感動の対話、わが子を失った悲嘆の日々を癒し、絶望を希望に変えてくれた貴重な一言など、人を勇気づける言葉、心を温めてくれる言葉を集めて、日本語が持つ豊饒な力と煌めきを呼び覚ます必読のエッセイ集。
目次
プロローグ 変わる自分の節目に
心を耕してくれた名文句
生きるための表現
いのちの言葉を生み出す死
言葉の息づかい
医療を読み解く言葉
言葉の危機、時代の危機
エピローグ 自分のための言葉
著者等紹介
柳田邦男[ヤナギダクニオ]
1936(昭和11)年、栃木県鹿沼市生れ。NHK記者を経てノンフィクション作家になる。’72年『マッハの恐怖』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。’95(平成7)年『犠牲(サクリファイス)』とノンフィクション・ジャンルの確立への貢献に対し菊池寛賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
り こ む ん
26
ノンフィクション作家である柳田邦男さん。私は、この方が、何故?好きなのだろと考える。それは柳田さんの思いもあるのだけど、その思いを現す「言葉」に引かれているんだと、この本を読みながら思った。冷静で、客観的なのだけど…その言語化された言葉の一つ一つには、温かみがあり、他者の紹介に対しても、ただの参考ではなく、豊かな思いを交えて紹介してくれている。それを感じるだけでも、この本は十分に「言葉」の力を感じさせてくれる作品。2014/06/21
ムーミン
21
「意味のある偶然」。コロナ禍の状況に柳田邦男氏の著書に目がとまり、読み直す機会を得たことには、何か大きな意味があると受け止めています。今の状況をどう受け止めるか。大事なものを子どもたちに伝える物語性のある言葉をつむぐ営みに取り組みたいと思います。2020/05/05
団塊シニア
19
人間が生きて行くうえで大切なことは簡単で平易な言葉や人間同士の肉声あるいは触れ合い、さらに誰でも日常の中に物語を持ってるという作者、言葉にこだわる作者の熱量を感じる内容に共感できるものがあった2021/02/27
KAZOO
17
題名のとおり、日本語の言葉にある力がどのようなものかをいくつかの主要な場面に分けて紹介してくれています。これをよむとやはり書物になった言葉などの持つ力というものは計り知れないということを感じます。この本ではエッセンスを紹介してくれていますが全部を読んでみたい本もいくつかあります。いくつか挑戦していこうと思います。2014/02/08
Willie the Wildcat
14
言葉の持つ意味を様々な視点から眺める。ある時は著名人、ある時は日常生活、またある時は時事。特に”心からの言葉”からは奥の深さを感じる。”他力”・”悲”(蓮如の母)の意味や”記憶”の定義には感嘆。ビジネスの観点では「高度専門化なブラックホール」とと「2.5人称の視点」。常に相手を考える言動の大切さを再認識。蛇足だが、『フランダースの犬』が好きだったのは著者との意外な共通点。思わず「だよね~!」と叫ぶ・・・(笑)2011/12/06