新潮文庫 日本人の矜持―九人との対話

藤原 正彦【著】

新潮社（2010/01発売）

• サイズ 文庫判／ページ数 266p／高さ 15cm
• 商品コード 9784101248103
• NDC分類 914.6
• Cコード C0195

内容説明

国家は将来ある子供たちの芽を摘もうとしている。英語早期教育、薄い国語教科書、愚かな平等教育、歪んだ個性の尊重―。真に身につけるべきは、読書による国語力、基礎の反復訓練による我慢力、儚いものの美を感得する感受性、歌う心、卑怯を憎む心。そして、大人たちは、カネと論理を妄信するアメリカ化を避けねばならない。碩学賢者九名が我らが藤原先生と縦横無尽に語り合う。

目次

齋藤孝（教育学者・明治大学教授）「日本人らしさ」をつくる日本語教育
中西輝政（国際政治学者・京都大学教授）論理を盲信しないイギリスに学べること
曽野綾子（作家）真実を述べる勇気を持つ日本人に
山田太一（脚本家・作家）人間の弱さを感じること傷つくことで得る豊かさ
佐藤優（起訴休職外務事務官・作家）アンテナが壊れシグナルが読み取れない日本
五木寛之（作家）昔の流行歌には「歌謡の品格」があった
ビートたけし（映画監督・タレント）人生すべてイッツ・ソー・イージー
佐藤愛子（作家）心があるから態度に出る誇りが育む祖国愛
阿川弘之（作家）「たかが経済」といえる文化立国を

著者等紹介

藤原正彦［フジワラマサヒコ］
１９４３（昭和１８）年、旧満州新京生れ。東京大学理学部数学科大学院修士課程修了。お茶の水女子大学名誉教授。’７８年、数学者の視点から眺めた清新な留学記『若き数学者のアメリカ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞、ユーモアと知性に根ざした独自の随筆スタイルを確立する。新田次郎と藤原ていの次男（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

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[シャコタンブルー]

数学で一番大事なのは美的感受性で、知能指数や偏差値はあまり関係ないと作者が述べている。学生時代にサイン・コサインで挫折した私に不足していたのは美的感受性だったのか（笑）。数学者でありながらも日本の教育に一番必要なのは１に国語２に国語３、４がなくて５に数学だという。美的感受性を育てるために美しい詩や小説に触れ、感動することが独創的な仕事をする上で欠かせない。だから英語教育ではなく読書の時間をもっと増やす事で感性を養うことが重要だ。齋藤孝さんとの対談で、二人の教育に対する熱意と誠意が感じられ共感した。

2020/05/02

[金吾]

○日本の教育や道徳への危機感が伝わります。幼少時海外から帰国して日本の教育に驚きを感じましたが、現在は伝え聞くだけですが、教育はますますダメになっているように感じますので同感できました。齋藤孝さん、曽野綾子さん、ビートたけしさんとの対話が良かったです。

2023/03/27

[さきん]

早期英語教育批判、数学に情緒は重要という議論でお馴染みの藤原氏の対談集。国家の品格は海外では、日本版ライプニッツ、ウィトゲンシュタインという評価という佐藤氏の言は興味深かった。自説は正しいが周囲は半分しか理解していない、論理で割り切れることばかりではないなど。

2021/08/09

[mura_ユル活動]

新田次郎が好きで息子の藤原正彦さんの本につながった。「国家の品格」の著者で数学者。文化人9人との対談集。繰り返されて主張されていることは明確。国語・数学教育が大事。英語はその基礎が出来てから。情緒も大切で、野に咲く一本のスミレを美しいと思う心。小学生が自ら本に手を伸ばすことが最重要と。卑怯ということがなくなった。怪談は人間中心主義のアンチテーゼ。「自分を褒めてあげたい」は気持ちの悪い言葉。法隆寺の屋根の形状はサイクロイド曲線。その形状に秘密がある、機能美。佐藤優さんとの対談では、盗聴の話、笑ってしまった。

2013/04/21

[Mik.Vicky]

学生時代は数学はまあまあ得意で好きだったので、数学の神がかりなところとか、美しさとかはよく理解できた。それはともかく、日本人の品格・矜持が低下していることは確かに感じる。自分も学生時代にもっと勉強し、日本に貢献できる人物になりたかった。社会の一員として仕事して家族を養い、子供を育て、納税・消費している。今貢献しているってこれくらいだからな・・・

2019/03/13