内容説明
人を殺し、その死を巧みに金に換える“先生”と呼ばれる男がいる―雑誌記者が聞いた驚愕の証言。だが、告発者は元ヤクザで、しかも拘置所に収監中の殺人犯だった。信じていいのか?記者は逡巡しながらも、現場を徹底的に歩き、関係者を訪ね、そして確信する。告発は本物だ!やがて、元ヤクザと記者の追及は警察を動かし、真の“凶悪”を追い詰めてゆく。白熱の犯罪ドキュメント。
目次
独房からの手紙
サイは投げられた
“先生”VS殺人犯
驚愕の証言
“じいさん”の素性
“カーテン屋”を知る女
そして、矢は放たれた
脚光を浴びた死刑囚
第四の殺害計画
消せない死臭
闇に射しこむ光
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
362
一冊の本としてもう少し内容を整理した上で読めればもっとストレートな迫力が出たように思うがそれゆえに独特の生々しさがあるとも言えよう。なかなか目的である先生という人物に辿りつけないもどかしさ、後半見えてくる犯行の有り様の無残さおぞましさ。2014/04/15
yoshida
300
上申書殺人事件として知られる本事件。後藤良次死刑囚からの告白により、主犯であるサイコパス三上静男の情報が新潮社の記者にもたらされる。情報の信憑性や裏とりを経て茨城県警に連絡。新潮45で事件が世に出る。三上静男は複数の独居老人や多重債務者に対し、保険金殺人や、事故に見せかけた殺人を繰り返す。しかし立件できたのは1件のみ。無期懲役となる。三上静男は何故、ここまで悪事に手を染めたのか。後藤良次の逮捕が無ければ、犠牲者はより増えたろう。身近にも三上はいるかも知れない。狡猾な人物と独居老人。社会の歪みを感じた。2016/08/16
ehirano1
218
何が怖いって、本書が事実であることです。事実は小説よりもナントカ、とかいうレベルではないんです。これが小説ではなく事実であるということがホントに恐ろしいです。2019/01/12
kinkin
186
本当にあったこわい話とはこんな事なのか・・・。こんな話、実はたくさんあっても埋もれてしまっている事件も多いのだろうな。もう安全な国、治安のよい国というのはずいぶん昔のことなんだ。諸外国に比べりゃ犯罪は少ないとはいえ、世にはびこっている貧困がこれからこんな事件の原因にもなっていくのだと思う。読後はなるほどなーと思ったがジワジワと嫌な気分になってしまった。こんな気分になったのは久しぶり、口直しにしみじみとした本を読みたくなった。2015/09/13
nobby
170
映画鑑賞後、一気に読んだ。映画のその忠実な演出を感じながら、改めて文字で読んで恐怖を感じる。死に至る酒宴の記述は映像よりも生々しく怖いかも…後藤の人間味とその先生への復讐心に胸を熱くした一人のジャーナリストの本気が、埋もれかかっていた悪を掘り起こした。その結末は爽快。2013/10/11