内容説明
「教祖来る。神と出会う集会開催」手渡された一枚のチラシ。そして、目前で実演される感動的な奇跡。うぶな和夫は、インチキを信じ教団職員となるが、そこに宗教はなかった。初代教祖が亡くなると、実権を握る総務主管・司馬は、二代目教祖に和夫を抜擢した。彼は教祖の聖性を否定し、自らの力で完璧な唯一神を創造しようとしていた。「現代の教祖」が、神への試練に挑んだ長編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タルシル📖ヨムノスキー
20
ビートたけしが描く新興宗教を皮肉った物語。単行本が90年。93年に映画化され、その翌年に文庫化。いつだったか映画を観て新興宗教の描かれ方に大きく共感。ずっと読みたいと思いつつ忘れていたが、一連の流れで購入。改めて小説版を読んでみると、エピソード的には映画と比べて多少物足りない感じもするが、コレがオウム事件より前に書かれていたとは驚き。インチキ宗教を立ち上げた司馬の気持ちみたいなものが詳細に描かれていて、映画のセリフにもあったけど、最後、ああいうカタチでしか神様と向き合えなかった司馬がなんだか切ない。2021/04/29
anco
14
新興宗教を題材にした小説。宗教や神についての解釈が描かれていました。たけしさんはお笑い界の教祖なのではないでしょうか。2016/08/09
オレンジ・スター
10
再びオウムの話題が出てるので、昔映画を見たこの作品を読んでみる。これは、地下鉄サリン事件よりもバイク事故よりも前に書かれている小説だが、たけしさんが考えている宗教感をわかりやすくお話にした感じ。小説の司馬がたけしさんそのもの(映画の配役もそうだったが)なのだろう。神も仏もないと思う昨今、一方で新興宗教は、どんな教義でも、嘘でも、信者の精神の支えとして発展したのだろうとわかる。今、怖さもわかった。しかし、この小説では、その怖さを先に予言したかのような…。まさにたけしさんが教祖であった。2018/07/28
ライアン
9
十数年ぶりに読んだ。初めて読んだ23年前は駒村の考え方に同調して「司馬はなんて人間なんだ」と思ったが、今読んでみると司馬の考え方もよくわかる。それだけ歳をとったということなのか?・・・。「神」というものについていろいろ考えさせられる1冊2013/07/14
うちこ
7
映画を観て原作を読みたくなり図書館で借りたのですが、手元に置いておきたいと思い購入しました。著者が43歳のときに発表した小説で、かなりの勉強量が背景にある想像以上の内容でした。この小説の1年後に麻原彰晃と「TVタックル」で対談し、3年後に映画が公開されています。 原作には瞑想、ヨガ、丹田呼吸法、坐禅、チャクラへの意識の集中なんて場面も出てきます(映画にはない要素)。キリスト教、イスラーム、さまさまな仏教、それを下敷きにした新興宗教とそのビジネスが成り立つ大衆心理まで書かれていて、いま読むと名作です。2022/10/19