内容説明
時は天保。蝦夷地では、情けを忘れた武士や利に溺れる商人が、民を苦しめていた。森に大河に血涙が流れる。彼らの非道、断じて許さぬ!青年は起ちあがった。闇色の装束を身にまとい、栗毛の駿馬を操り、悪党どもに鞭をふるう。瞳に宿すは、破邪の炎。北の果て、つむじ風の如く駆けめぐる、黒頭巾。彼が蒔いた正義という名の一粒の種は、荒野に実るのか?痛快時代小説、見参。
著者等紹介
佐々木譲[ササキジョウ]
1950(昭和25)年、北海道生れ。札幌月寒高校卒。本田技研勤務を経てフリーに。’79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール読物新人賞を受賞。’90(平成2)年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。2002(平成14)年『武揚伝』で新田次郎文学賞を受賞する
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感想・レビュー
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みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます
5
幕末の北海道を舞台に、和人の圧政からアイヌの民を救うために立ち上がった「黒頭巾」の活躍を描く活劇物。黒頭巾を突き動かすのは義憤のみで、鞭を武器に殺生もしない。それでいて刀や銃を持つ権力者をバッタバッタと懲らしめるので、思いのほか痛快な気分にさせる。黒頭巾の活躍によって変わっていくアイヌや和人たちの変化も、人情ものっぽくて温かい。勧善懲悪ものは合わないと思っていたが、安心して、次はどうピンチを切り抜けるのかといったワクワク感を楽しむことができ、なかなかいい。時代劇が根強い人気を誇るのもわかる。2010/10/28
キューカンバー
4
北海道を舞台とした歴史小説。『蝦夷地別件』と似たような趣きのき作品。楽しく読了しました。2018/03/28
miroku
3
勧善懲悪、痛快無比、真直ぐで良いではないか! 鞭がひゅんとうなれば悪が討たれる♪2010/02/09
マシンガン
2
佐々木譲お得意の、幕末の北海道を舞台にしたウエスタン活劇。馬の躍動感溢れる動きの描写がいい。原野の大地の距離感がいい。アイヌの民の生活感がいい。テンポのいい文体に乗って、こちらも一気に読破だ。2012/08/23
おさとう
2
江戸時代、松前藩の圧政に苦しむアイヌの人々…その地に突如現れた、暴政へ単身挑む「黒頭巾」。その悪に怯まぬ果敢な姿勢は、アイヌの人々に「光」をもたらし…その光に励まされ、今一度動き出した人々それぞれの歩みが一陣の「風」を生み、やがては蝦夷地全土に巻き起こる「旋風」となる…。正に痛快時代小説!!と呼ぶにふさわしい、熱くて爽やかな正義漢物語です。変な色気もなくてスカッと読めますね。主人公の性格もすがすがしくて、登場人物のキャラが皆立ってるのも魅力的。2006/04/09