内容説明
1941年12月8日、日本海軍機動部隊は真珠湾を奇襲。この攻撃の情報をルーズベルトは事前に入手していたか!?海軍機動部隊が極秘裡に集結する択捉島に潜入したアメリカ合衆国の日系人スパイ、ケニー・サイトウ。義勇兵として戦ったスペイン戦争で革命に幻滅し、殺し屋となっていた彼が、激烈な諜報戦が繰り広げられる北海の小島に見たものは何だったのか。山本賞受賞の冒険巨篇。
著者等紹介
佐々木譲[ササキジョウ]
1950(昭和25)年、北海道生れ。’79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞。’90(平成2)年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞を受賞。’10年、『廃墟に乞う』で直木賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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SJW
198
佐々木さんの北海道警シリーズが好きだけれど他の作品を読んだことがないので、読んでみた。日米開戦の発端となる真珠湾攻撃に関する情報を盗み出そうとするアメリカ側スパイと日本軍部、特高、憲兵との手に汗握る長編スパイ小説。佐々木さんの戦争三部作の第二作目に当たる。山本周五郎賞ならびに日本推理作家協会賞受賞作。 スペイン内戦から話が始まり、択捉島、ワシントンDC、東京、南京など話が広がりどのように収拾するのかと思ったが全て真珠湾に出撃する連合艦隊の情報収集に繋がっていく。普通のスパイ小説と違うのは、登場人物が多いが2018/03/09
遥かなる想い
162
日本推理作家協会賞・山本周五郎賞受賞作品。日米開戦のきっかけとなった真珠湾攻撃の情報戦を時代背景に、日系人スパイ、ケニー・サイトウの動きを描く。何といってもヒロインの「ゆき」の人物造形が秀逸。エトロフ島が日本海軍発信基地になったことも知らなかったが、情報戦を描くというよりも、その時代に生きた人々を描いた作品。 2010/09/04
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
151
第3回山本周五郎賞作品。日米開戦直前、真珠湾攻撃という奇襲作戦を秘匿しようとする日本軍に対する米国スパイの日系人ケニー・サイトウ。真珠湾攻撃の裏にはいろいろな説があるが、一つの仮説を元に実に面白い諜報物に仕上げている。前半ややくどいなあと感じた登場人物の背景の描写も後半見事に生きてくる。佐々木さんというと今や警察物のイメージなのですが、なかなかどうして一級の冒険アクションエンタメでした。三部作の他2作も読んでみよう。★★★★2015/07/19
koba
126
★★★★☆2015/04/11
yoshida
124
日米開戦が迫る中、米軍のスパイであるケニー斉藤が日本に潜入。日本海軍が択捉島からハワイ攻撃に出撃した旨を打電しようとする。スパイの暗闘を描く内容として読ませる作品。平成元年の出版なので現代から見ると歴史認識の点で個人的にギャップを感じてしまう。南京事件は有無に議論がある。そこをあったと書きすぎと思う。日本がファシズム国家として描かれたり、悪役の日本海軍等厳しく描かれすぎ。個人的には日本側から描いて米国への暗号発信を止める方が良かったかな。戦前の日本が悪だったと言う前提で描かれていると思う。そこが残念です。2020/07/11