内容説明
「俺がOKと言ったら、それがOKなんだよ」―、ハンチング帽に黒いサングラス、世界に冠たる名監督の傍らで見つめ続けたその素顔。最も可愛がられた俳優が、半世紀にわたる心の交流を綴る。盛り場で大立ち回りを演じた三船敏郎、常に松葉杖をつき、謎の水筒をぶら下げていた左卜全、他に志村喬、千秋実、木村功など、黒沢映画を支えた名優たちとのエピソードを交えた、珠玉の回想録。
目次
クロサワさーん
出会い
悪魔のように細心に。
黒沢ファミリー
志村のおじちゃん
三船と四船
個性爺さんと本物婆さん
不老長寿の薬
喧嘩も才能のうち
大男小男〔ほか〕
著者等紹介
土屋嘉男[ツチヤヨシオ]
1927(昭和2)年生れ。俳優座に在籍時、黒沢明監督に見出され『七人の侍』で映画デビュー。以後、黒沢組の常連となり、『赤ひげ』『椿三十郎』『隠し砦の三悪人』など9作品に出演した
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感想・レビュー
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fwhd8325
29
晩年の作品であっても、リアルタイムで作品を見ることができたことは貴重な経験だと思っています。初期の作品も並木座や文芸座などで見る機会が多かったことも、幸せだったと思います。他を寄せ付けないような印象が強かった黒澤監督ですが、土屋嘉男さんとの師弟というよりも兄弟のようなかけがえのない関係は、実に人間味溢れた方だったと微笑ましく読みました。2017/10/29
0717
9
土屋さん、2月に亡くなっていたのですね。若き日の土屋さんが、「七人の侍」への出演をきっかけに黒澤家に居候する、そこに出入りする奇っ怪な役者逹、映画人逹の回想録。左卜全さん、強烈!、最強でしょう。2017/10/22
彼方
1
図書館本。ちょっと黒澤明監督のことを調べものしていたので。著者の懐かしい思い出を語る筆致が、とても慈愛に満ちていて、人生の一部であったのだろうと推察されました。 無茶振りすら愛おしい、というような。戦中の経験をも糧にして、個性豊かな俳優、脇を固める音響やカメラ、映画音楽、素晴らしい才能と情熱が溢れてぶつかり、日本映画史を打ち立てていった映画人たちの誇りと、そして著者の監督への敬愛が言葉ひとつひとつに滲み出た良き一冊でした。2025/06/14
MNK2
1
大好きな土屋さんと、黒澤をめぐる想い出話。当時の土屋さん目線での色々なエピソードが面白すぎる。2016/02/16
tsukamg
1
再読。黒澤明映画における土屋嘉男さんの芝居は「赤ひげ」がベストだと思いますが、「椿三十郎」の若侍も良いです。一人ベテランという感じで。さておき、「乱」の出演を依頼されていたことは本書で初めて知りました。断ってからは疎遠だったのかもしれないなと思います。映画全盛期の、ある意味でおとぎ話。2014/10/26
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