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新潮文庫
彼女たちの売春(ワリキリ)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 376p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101211718
  • NDC分類 368.4
  • Cコード C0195

内容説明

風俗店などに属さず、出会い喫茶や出会い系サイトで知り合った客相手に行う、個人売春=ワリキリ。彼女たちはなぜこの稼ぎかたを選んだのか。都市や地方で女性たちに取材を続けた結果、貧困、精神疾患、DV、家庭環境などの様々な要因と、問題を直視しない社会の姿が浮び上がる―。女性個人の事情として切り捨てず、社会の問題として捉え直すために見つめた、生々しく切実な売春のリアル。

目次

1章 社会的な引力・斥力―風俗・ワリキリ・精神疾患
2章 排除の果て、アウトサイドの包摂―虐待・ホスト・ドメスティックバイオレンス
3章 貧困型売春と格差型売春と―学歴、貧困、ハウジングプア
4章 母親としての重圧―離婚、中絶、シングルマザー
5章 全国ワリキリ事情―車、パチンコ、買春旅行
6章 3・11―地震、津波、原発事故
7章 ナナとの出会い―日記、メール、妊娠報告
8章 買う側の論理―喫茶、サイト、利用データ
9章 出会い喫茶のルーツ―自己決定、自己責任、自由市場

著者等紹介

荻上チキ[オギウエチキ]
1981(昭和56)年生れ。評論家。ニュースサイト「シノドス」編集長。ラジオ番組「荻上チキ・Session‐22」(TBSラジオ)パーソナリティ。同番組にて、2015年度、’16年度とギャラクシー賞を受賞(DJパーソナリティ賞およびラジオ部門大賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

32
同氏は、長年に渡って売春(ワリキリと読む)などに走る女性たちを取材してきた。  面識のない女性たちにあの手この手でアポを取り、ドタキャンに真っ暗になったりしながらも、東京だけじゃなく地方でも取材を重ねてきた。毎年そ百人以上を十数年、既に通算すると3,000人を超えるという。  こうした取材を始めるに大きな理由はなく、ある日、「そうだ、取材してみよう」と思い立ったからと、本書(第一章)にはある。 2017/12/22

なっちゃん

24
我が身を売って暮らしていくしか方法がない。そうせざるを得ない事情もたくさん書かれている。 日本の偉い方々!!彼女たちを助ける方法は作れないのでしょうか。2018/10/24

ネムル

17
「よりマシな売春」というシステムと社会からの斥力、貧困問題の根が深い。2019/03/07

Tsumugi.G

12
これほどまでに濃密で丁寧な切り口のドキュメンタリーは中々お目にかかれない。ある種のアングラ貴重資料であると共に、評論や実話本の域を超えて立派な学術論文として認められても良いほどに緻密な取材と分析が重ねられており、たいへん読み応えがある。その分読了に時間はかかるが、現代日本に蔓延る様々な問題やアングラ事実が浮彫でマルっと理解できるので、是非地球人全員に御一読頂きたい(本当に!)。茶飯、は知らん用語だったが近頃の言葉で言うと「パパ活」に換言されそう。皆が生きやすい社会の為に努力し足掻いていることが分かる1冊。2018/10/25

せんべい

10
出会い系における個人売春(ワリキリ)を、詳細に実態調査をした本。 茶飯と言われる飲食を共にして対価を得るコや即物的に肉体関係で稼ぐコ、その相場まで膨大なインタビュー調査を基に書かれている。 そもそも売春自体は、容易にはなくならない。 しかし大半の女たちは望んでワリキリをしているのではなく親の虐待やDV、精神疾患や借金など事情を抱えている。 『女が搾取されない場を作りたい』という、出会い喫茶創業者の言葉も印象的だ。 いろいろ考えさせられる一冊だった。2017/12/14

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