出版社内容情報
明日世界が終わるとしても、ひとは恋におちる。光と影が孤独を包む、恋愛連作短編集。
実体がないような男との、演技めいた快楽。結婚を控え“変化”を恐れる私に、男が遺したもの(「ほむら」)。傷だらけの女友達が僕の家に住みついた。僕は他の男とは違う。彼女とは絶対に体の関係は持たない(「うろこ」)。死んだ男を近くに感じる。彼はどれほどの孤独に蝕まれていたのだろう。そして、わたしは(「ねいろ」)。昏(くら)い影の欠片が温かな光を放つ、島清恋愛文学賞受賞の恋愛連作短編集。
内容説明
実体がないような男との、演技めいた快楽。結婚を控え“変化”を恐れる私に、男が遺したもの(「ほむら」)。傷だらけの女友達が僕の家に住みついた。僕は他の男とは違う。彼女とは絶対に体の関係は持たない(「うろこ」)。死んだ男を近くに感じる。彼はどれほどの孤独に蝕まれていたのだろう。そして、わたしは(「ねいろ」)昏い影の欠片が温かな光を放つ、島清恋愛文学賞受賞の恋愛連作短編集。
著者等紹介
千早茜[チハヤアカネ]
1979(昭和51)年、北海道生れ。立命館大学卒業。幼少期をザンビアで過ごす。2008(平成20)年、小説すばる新人賞を受賞した『魚神』でデビュー。’09年、同作にて泉鏡花賞、’13年、『あとかた』で島清恋愛文学賞を受賞した。『あとかた』と’14年刊行の『男ともだち』はそれぞれ直木賞候補になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
443
スタイリッシュで都会的な小説だ。感性の掬い取り方が独特で巧い。6つの連作短篇は、いずれも空虚感が漂う。とりわけ冒頭からの3篇がそうだ。それぞれの小説中の男も女も、実態があるようでいて、その実、関係性が希薄だ。そこが、この小説特有のリアリティだといえばそうなのだろう。篇中では「うろこ」がもっとも情念的だ。藤森サキ(名前には違和感が拭えないが)の存在感と、(甘ったるくはあるが)松本の存在は読者の共感(少なくても男性読者)を拒まない。巻末「ねいろ」の「たとえ明日、世界が終わるとしても…」は、明らかに語り過ぎだ。2016/10/28
ミカママ
294
千早さんの言葉の選び方がとても好き。たとえ明日世界が終わるとしても、何を遺せるものではなくとも、人は恋をしてしまう。2016/10/24
❁かな❁
230
やっぱり千早茜さんの作品大好きです♡私が初めて読んだ千早さんの作品は『あとかた』です*文庫化されたので再読しましたが素晴らしいです!男女の心の痛み、切なさ、孤独感など色んな愛の形をとても丁寧に描かれています。大人の恋愛連作短編集*千早さんの静かでありながら激しく燃えるような想いに胸が苦しくなり涙が何度も溢れました。以前読んだ時以上に「ゆびわ」がとても切なくて思い切り泣いてしまいました*すごく大好き♡「うろこ」はキュンときて「ねいろ」「ほむら」も良かったです♬千早さんの作品1作未読なのでそれも読んでみます★2016/03/21
遥かなる想い
178
ひどく たおやかな連作 恋愛短編集である。 男と女が 奔放に 体を重ねながら、 冷静に 日常を過ごしていく。 現代に生きる 恋人たちの 不安定な 心の揺れを 軽やかに描いた、短編集だった。2019/11/09
馨
171
とある男に関係した人たちの短編集。恋愛小説ですが、どの話も暗めで、痛々しいシーンもあるからか文章は難しくないのに雰囲気が何だか読みづらいなあと思いながら読んでいたらラストの2作『うろこ』『ねいろ』が良かったです。『うろこ』の主人公の友達の啓介の言葉が良かったです。2019/05/18