新潮文庫<br> BUTTER

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新潮文庫
BUTTER

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  • サイズ 文庫判/ページ数 592p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784101202433
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子。若くも美しくもない彼女がなぜ―。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳にあることを命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。

著者等紹介

柚木麻子[ユズキアサコ]
1981(昭和56)年、東京都生れ。2008(平成20)年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、’10年に同作を含む『終点のあの子』でデビュー。’15年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

406
社会派小説とのことで苦手分野かもしれないと懐いながら読んでみたら柚木さんワールド全開で非常に面白く読みやすかったです。バターを使った料理の表現がリアルで、醤油バターご飯とか食べたくなります。私も途中まで里佳と同様カジマナにまんまとハマり、操られそうになりました。里佳と怜子の友情が素敵。2020/07/04

明智紫苑

348
ブログや小説家になろうに投稿するための感想文を書くために、スマホアプリでメモを取りながら読む。齋藤孝氏の「三色ボールペン」方式よりも、このやり方の方が個人的には効率が良い(そもそも、小説で三色ボールペンチェックをやるのは無粋な気がする)。実在事件をモチーフにしているのは桐野夏生氏の『グロテスク』と同じだが、あちらが性悪説寄りなのに対して、こちらは性善説寄りの内容だ。ただ、「カジマナ」のモデルになった女性は、そんな他の女性の性善説的な価値観こそを嫌うのかもしれない。2020/05/23

mae.dat

310
胸焼けした 。初めは有名な事件や経験した事象が導入となっており引き込まれました。でもね。主人公である里佳さんが、もう一人の主役と言って差し支えない梶井真奈子に傾向していくと同時に、儂も堕とされた様でね。気がつけばバターの沼で溺れ、もがいていたのですよ。女性独特の心理描写かなぁ。カジマナの信条かなぁ。それがくどくて、何度も膨満感に似た感覚に陥り、暫くの離脱を余儀なくされる事を繰り返しました。心情の変化とか、展開の工夫とかあったり。最後は幾らか爽やかに終えた様に思いますが、おじさんにはハイカロリー過ぎました。2023/02/21

エドワード

259
柚木麻子さん渾身の異色作。山本一力さんの解説にある通り「女性の友情と信頼」を描く点は変わらない。雑誌編集者の里佳と専業主婦の伶子は大学以来の友人。里佳は梶井真奈子という女性が高齢の男性たちを殺した事件を追っていた。取材するごとに深まる謎。食欲と性欲の権化のような梶井の毒に冒されていく里佳と伶子。梶井は本当に殺したのか?食への異様な執着の源は?サスペンスとグルメ、夫婦と家族、笑いもあり、様々なテーマが広がっていく様が圧巻。ちびくろさんぼの虎はバターになったが、果たして死んだのか?原点に童話があるのが面白い。2020/03/10

dr2006

163
熱過ぎる体はバターをたちまち溶かす。冷たいバターの上で立ち続けられる人の適温はどれ位なのか。雑誌記者の町田里佳はキャリアを積み、情報元の信頼も得ていたが、自らに迷いを感じていた。そんな中、3人の男を殺害した容疑で収監されている梶井真奈子を取材する。彼女を知るにつれ、里佳は徐々に感化されていった。人が深い孤独から抜け出す唯一の手段は信頼かもしれない。異端と数字に厳しい現社会が、バターが溶けない程度の寛容さを持って欲しいとも思う。社会の歪んだ要求に抗おうとする女性とその内面の変容に引き込まれた。良かった。2020/11/03

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