内容説明
深淵の底から、現実という水面に湧き出る、交錯した夢と記憶。コンクリートのマンションに住む人間たちと、森に棲む生き物たちとの密かな交感―。子供たちに見せるため、別れた男と会いながら、奇妙な沈黙が続いてしまうその光景を、山の男と村人との物言わぬ物々交換、すなわち黙市に重ね合わせる川端賞受賞の表題作等、この世にひっそりと生きる者たちの息遣いに耳澄ます11編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はらぺこ
54
短編集。似たような家族構成や家庭環境の話が続くので混乱したし眠かった。後半の作品に好きなのが多かった気がする。2012/10/03
翔亀
43
1979年から1983年、著者32歳から36歳にかけての短編11編。連作ではないが、全てがシングルマザーが主人公で、早く父を亡くし母親の手で育てられた幼少の、あるいは別れた夫との、不完全な家庭ともいうべき中で否定すべき過去とかすかな未来への希望が語られる私小説が続き、同じ体験のない私などにはうんざりもさせられもするが、しかし川端賞を受賞した表題作(1982)以降の作品は俄かに私などにも迫ってくるものがある。この作家の作品系列における転機が読み取れるような気がする。一つの普遍性を獲得したとでも言うべきか。↓2016/12/31
501
14
11編の短編集。妻子持ちの男の子を持つシングルマザーが主人公に片親(母)、部屋、夢が形を変え繰り返し表現される。ここに生きる彼女たちの生活は、暗澹とした夢が現実へ伸張し、現実を生きる孤独、葛藤、焦燥感に幻想性を帯びている。正直、彼女たちの生をどう受け止めてよいか分からず、戸惑いながら読み進めた編が多かったが表題作の黙市を中心に暗澹とした幻想性の中に潜む美しさ、心に引っかかる説得力に、読了後、時間を置いて再読したい気持ちになっていた。2016/12/11
はっぱ
14
抽象画の様な本だった。捉え所のない、捉えようとしてはいけない本なのかも知れない。幻~ラストが何とも言えなかった。ささやかな幸せ。でも、これがとても大切な事なのかも知れない。 石を割る~石の中の清涼な水の中に、ひっそり泳いでいる赤い金魚。綺麗。 浴室~飼い主の耳元で、声の出ない声で呼びかける。飼い主のすぐ傍に寝そべり、透き通った緑色の眼を見開いて、飼い主の眼を見つめ、声にならない声で鳴いた。天国に行くタマシイ。この文章は、何故か好き。2013/11/27
あ げ こ
10
今なお色褪せぬ苦しみを。葛藤を。向き合うべき存在を。飲み込まれてしまわぬよう、目を背け続けて来たその孤独を。夢はどこまでも暗く、残酷に心を象る。あまりにも身勝手で、あまりにも情けなくて、けれどあまりにも切実である言葉の数々。込み上がるそれは共感とは別の、もっと不愉快で、もっと疚しくて、ヒリヒリと灼けつくような痛みと嫌悪を伴う理解。愚かしい。幾度となく思い知る様。救いなど現れる事はないのだと。淡い期待を抱く様。崩れ、這うように、それでも足掻き続ける様。見苦しく痛ましい。けれど、どうしても離れる事が出来ない。2015/11/11
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