出版社内容情報
一枚食べたらもう引きかえせないからね――。小説家の〈私〉は未施錠の多目的トイレで本のページを貪り喰う女を目撃する。女の警告に挑むかのように、私は蔵書を手に取り……(「食書」)。一泊二日で十万円。三十三歳、無職の〈私〉は怪しげな仕事を請け負う。他言無用の宗教儀式、そこには長い黒髪の女ばかりが集まっていた(「髪禍」)。人生を逸脱することの恐怖と恍惚に、極限まで踏み込む七編。
【目次】
内容説明
一枚食べたらもう引きかえせないからね―。小説家の〈私〉は未施錠の多目的トイレで本のページを貪り喰う女を目撃する。女の警告に挑むかのように、私は蔵書を手に取り…(「食書」)。一泊二日で十万円。三十三歳、無職の〈私〉は怪しげな仕事を請け負う。他言無用の宗教儀式、そこには長い黒髪の女ばかりが集まっていた(「髪禍」)。人生を逸脱することの恐怖と恍惚に、極限まで踏み込む七編。
著者等紹介
小田雅久仁[オダマサクニ]
1974(昭和49)年、宮城県仙台市生れ。関西大学法学部政治学科卒業。2009(平成21)年、『増大派に告ぐ』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。’13年、『本にだって雄と雌があります』でTwitter文学賞国内編第1位。’22(令和4)年、『残月記』で吉川英治文学新人賞、翌年に日本SF大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
23
うっかり遭遇してしまった7つの禍。逃れられずそれに絡め取られてゆく人々の人生と結末を描いた連作短編集。本を貪ることに魅入られてしまった男。耳に潜り込む奇妙な男を知ってしまった男。向こうの世界を知ってしまい、そこで運命の出会いを果たした男。バスで声をかけてくる女たちに魅入られてゆく男。ハナバエを育てる農場から逃れられない男。髪を教義とした教団の教祖世代交代の儀式。電車内の裸夫から始まる大パニック。遭遇してはいけないものに気づいてしまい、魅入られてしまったそれぞれの結末には強く心揺さぶられるものがありました。2026/03/29
Shun
21
「残月記」著者のホラー作品集。インパクト強めの装丁が目を惹き、本作は人間の身体の部位に特化したホラー小説という奇抜なテーマが根底にあり、よく見ると表紙にもそれが表れている。さてどんな”禍”が待っているのかと一作目を開くと、鍵を閉め忘れた多目的トイレの便座の上で女性が本のページを破り貪り食う姿が見える。一瞬エロスな展開かと思いきや早々に異様な空間に足を踏み入れてしまったと気付き繰り広げられる怪奇幻想の世界。どの作品も異様さが想像の埒外で期待以上でした。特に”鼻”と”髪”の禍は身近な部位ゆえにとても不気味だ。2026/04/10
ジャム
2
「このホラーがすごい!」で「近畿地方」とともに同率1位に輝いた超絶怪奇小説短編集がついに文庫化!トイレで本を食べる女を目撃してから自らも本を食べずにいられなくなった小説家を描いた「食書」からインパクト抜群。その後も手から耳にもぐる「耳もぐり」、ミステリ好きにオススメしたい耳を育てる「農場」のディストピア、表紙の中心にもなっている髪の長い女が率いる宗教を描いた「髪禍」、そして「全裸刑事チャーリー」もある意味真っ青な全世界の人々が突如脱ぎ出す「ヌーデミック」を描いた「裸婦と裸夫」などどれを読んでも怪奇全開笑2026/04/02
ツライシ
1
著者の本を初めて読んだ。おもしろすぎる。文が美しい。五感に訴えてくる。すごいものを読んでいる、もっともっと読みたいと思いながら読了。明日は著者の他の作品を買いに行こう。2026/04/07
迦陵頻之急
1
単行本刊行時に話題になった作の文庫化で、早速読んだ。生活に疲れた、閉塞感漂う主人公が異界に引き込まれていく作品群だが、最後のカタストロフは、ラヴクラフトのような終末観、破滅感とは違い、大いなる自然回帰による救済の感あり。肉体感覚の描き方は湿度を高くしたクライブ・バーガーのようで、日常の生活臭や主人公の鬱屈もいかにも日本的な湿度感。個人的には乾いて硬質な幻想小説が好みだが。展開のとんでもなさが笑いと紙一重な一方、ストレートなユーモア感覚は希薄、と思っていたら巻末の「裸婦と裸夫」でスラプスティック展開が爆発。2026/03/31
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