内容説明
戦闘機F15のパイロットに憧れ、自衛隊に入る若者は後を断たない。が、実際になれるのは、過酷な訓練に耐えた一握りの兵士のみ。しかも彼らは、実戦を想起した厳しい訓練飛行に明け暮れる。事故死の恐怖、強烈なGの圧迫…。矛盾と不安を感じながらも、なぜF15のパイロットたちは空を飛ぶのか。著者自らF15に体験搭乗して彼らの心情の奥底に迫った、自衛隊ルポシリーズの第二弾。
目次
第1部 対戦闘機戦闘訓練(離陸;Gの世界;遺影;ファイター;ライト・スタッフ)
第2部 「実戦」(F転;ミッション;緊急発進;宴会;発砲;七蛇の鼻)
第3部 生と死と(低酸素体験;有効意識時間;夫婦茶碗;他を生かす者たち;運命)
第4部 選ばれし者(赤旗;血の教訓;十七人の侍;中高年「残日」部隊;男の涙;地獄めぐり;ラスト・ファイト)
エピローグ 着陸
著者等紹介
杉山隆男[スギヤマタカオ]
1952(昭和27)年東京生れ。一橋大学社会学部卒業後、読売新聞記者を経て著作活動に入る。’86年、大新聞社を舞台にした『メディアの興亡』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。’96(平成8)年には『兵士に聞け』で新潮学芸賞を受賞した。他の著書に『きのうの祖国』『日本封印』などがある
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
27
「兵士に聞け」に続くシリーズ2作目。戦闘機パイロット、救難隊など航空自衛隊の一部の業務をルポ。著者は航空医学実験隊で実地訓練を受けF15に搭乗させてもらう。対戦闘機戦闘訓練。LAのディズニーランドのroller coasterはリニアでかなり速いと思ったが(89km/h)そんなもんでない。富士急ハイランドのドドンパで4.25G。それを上回るG forceの中、戦闘機の操縦を担うパイロットはやはり選ばれた人間なのであろう。血圧も下がり思考能力も通常の6割という中、ミサイルを発射するとは強い意志を感じる。続く2018/11/22
turutaka
1
太い太いノンフィクション。航空自衛隊員、いや自衛隊員の、いやいや男の子の憧れイーグルパイロットを軸に整備、ヘリ、メディック、アグレッサー、と航空自衛隊に関わる人々を縦に横に織り込んだ読み応えのある一冊。 主役はやはりイーグルのパイロット、そのパイロットになるまでの過酷さ、なってからの苦しみ、そして降りたあとの寂寞とした想い。当事者では無いが胸にくるのは、作者の取材力と表現力のなせる技か。 個人的には整備やパイロットの奥様のエピソードにグッとくる。2021/07/02
南註亭
1
自衛隊ルポシリーズの第二弾、今回は航空自衛隊のパイロットたちを描く。骨太です。F15への試乗体験は三島由紀夫の試乗体験を思い起こした。オススメ度、☆☆☆☆☆ 5つです。2007/07/17
クライン
0
男の子なら一度は憧れるだろうパイロットの世界。その中でも最高峰と目される「戦闘機乗り~ファイターパイロット」に照準を合わせたルポ。自衛隊の、そして空の現状がこれでもかと言うほど仔細に描かれていく。氏の「兵士」シリーズは、色んな主義主張の立場の人に読んでほしいシリーズ。憧れだけではやっていけない世界があるのは重々承知していたが、これほど苛烈を極める世界もそうはないだろう。
tora
0
航空自衛隊に焦点を当てたルポ。教導隊という組織については本書ではじめて知った。戦闘機パイロットの人生とは凄まじく厳しいものである。2010/02/19
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- 和書
- 現代ロシア演劇 水声文庫