出版社内容情報
医師たちが目の当たりにした地下鉄サリンの犠牲者・被害者たちの症状は、戦慄すべきものだった。約二か月後、教祖逮捕。公判が始まった。次々に明らかになる殺害事件の詳細、洗脳の恐怖、化学兵器の数々。教団の闇に迫った医師はついに証人尋問に臨んだ。精確で豊富な医学の知見と毅然とした態度で――。未曽有の事件の端緒から終結まで、医師として関与した目で描き上げた類を見ない大作。
内容説明
医師たちが目の当たりにした地下鉄サリンの犠牲者・被害者たちの症状は、戦慄すべきものだった。約二か月後、教祖逮捕。公判が始まった。次々に明らかになる殺害事件の詳細、洗脳の恐怖、化学兵器の数々。教団の闇に迫った医師はついに証人尋問に臨んだ。精確で豊富な医学の知見と毅然とした態度で―。未曾有の事件の端緒から終結まで、医師として関与した目で描き上げた類を見ない大作。
目次
第6章 地下鉄日比谷線と千代田線の被害届
第7章 犠牲者とサリン遺留品
第8章 サリン防止法
第9章 VXによる犠牲者と被害者
第10章 滝本太郎弁護士殺人未遂事件
第11章 イペリットによる信者被害疑い
第12章 温熱修行の犠牲者
第13章 蓮華座修行による死者
第14章 ホスゲン攻撃
第15章 教祖出廷
第16章 逃げる教祖
第17章 教祖の病理
第18章 証人召喚
第19章 死刑執行
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kawa
39
オウム事件の全貌を記録小説風に詳細描写なのだが、この分野の雄・吉村昭氏の作品ような切れがないのが少々残念。とは言え、同時代の衝撃的事件、浅原とも同世代、そんな中で起きた身近な事件で、もしかしたら私もという緊張感で800頁超え2日間で読了。次はフィクションでもよいので理系高学歴人間の彼ら・彼女らが何故あんな洗脳にはまってしまったのか、人間の不思議と闇をどなたかに描いてもらいたいものだ。2023/09/11
みこ
36
医学者が関わったオウム事件の後編。後書きにもある通り、一般の人にとっては浅原や幹部が逮捕されて事件は終息したと思われがちだが、彼らの犯罪を暴くために検察ばかりでなく、医学者も闘っていた。オウム事件に限った話ではなく、薬物事件全般の裏側を知ることができたようなきがした。2023/10/06
くろにゃんこ
32
下巻は地下鉄サリン事件後の話で被害にあった方の症状やオウムが起こしたほかの事件など。そして長い裁判での様子と続く。無差別殺人まで犯しながら逮捕後、ほとんどの人が洗脳を解いているのも不思議だった。宗教全てとは言わないが、洗脳というのは恐ろしいもの。若い方にも読んでもらいたい一冊でした。最後の”解説”を国松長官が書いているのにビックリ(*_*)2023/12/14
てつ
29
衛生学者の視点からのオウム事件の全貌。著者独特の専門用語の散らばりで難しく感じたが、知らない事実もあって改めて驚く。宗教は怖い。2023/09/24
piro
25
下巻は地下鉄サリン事件の詳細、そして一連のオウム裁判の内容が綴られます。沢井教授が警察からの依頼で取り組んだ医学的見地からの意見書、証人として出廷した裁判の内容が克明に記され、素人には斜め読みしかできないながらも、生々しい事件の経緯や裁判でのやりとりがリアルに伝わってきます。もはや「狂団」と言うべき集団に今更ながら恐ろしさを感じました。刑の執行を以て刑事事件は終息したのかもしれませんが、犯罪史上稀に見る凶行は今後も語り継ぎ、第二のオウムを生まない様対策を強固にして欲しいものです。2024/06/26