出版社内容情報
塩野 七生[シオノ ナナミ]
著・文・その他
内容説明
失政を重ねたコモドゥスは暗殺され、ローマは帝位を巡って5人の武将が争う内乱に突入した。いずれもマルクス・アウレリウスの時代に取り立てられた彼らのうち、勝ち残ったのは北アフリカ出身のセプティミウス・セヴェルス。帝位に登った彼は、軍を優遇することで安全保障体制の建て直しを図る。だがそれは、社会と軍との乖離を促すものでもあった。衰亡の歯車は少しずつその回転を早めていく。
目次
第3部 内乱の時代―紀元一九三年‐一九七年(軍団の“たたきあげ”;皇帝ペルティナクス;帝位争奪戦のはじまり;ローマ進軍;首都で;ライヴァル・アルビヌス;もう一人の“たたきあげ”;イッソスの平原)
第4部 皇帝セプティミウス・セヴェルス―在位、紀元一九三年‐二一一年(軍人皇帝;思わぬ結果;東征、そしてその結果;故郷に錦;ブリタニア;死)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
387
コモドゥス暗殺の後は内乱の時代が始まった。次のペルティナクスが帝位についていたのはわずか87日。次いで即位したユリアヌスは64日間。そして、ライヴァル2人を倒して軍事的な実力で帝位を勝ち取ったのはセヴェルスであった。初の軍事政権である。その彼が良かれと思ってやったこと。その1-パルティアの殲滅。その2-軍人たちの大幅な待遇改善。これらはいずれも結果的にローマをさらに凋落させていくことになる。結局セヴェルスには帝国の今の危ういバランスと将来といった大局が見えていなかったのである。そして彼の死後、その後を⇒2020/10/02
ケイ
98
コモドュス暗殺後、ペルティナクス、ユリアヌスと続けて即位するが、とも数十日で暗殺される。その後、セルヴェスがアルビニクスと共同皇帝となるものの、政敵ニゲルを倒し、アルビニクスが自死して単独皇帝になるまで三年を要した。その後セルヴェスは、10年あまり治世を行い、211年にブリタニア遠征中にヨークで死亡。息子二人が共同皇帝となるが、まもなく兄カラカラは弟を刺殺する。その頃、中国では諸葛孔明が劉備に仕え、赤壁の戦い。日本はいまだ弥生時代。2014/11/23
優希
71
コモドゥスの暗殺後、次々と皇帝が変わるのが、内乱のもとのように思えました。帝位をめぐる5人の武将たち。最終的に皇帝へと上り詰めたセヴェレス。安全保障体制を図るも、社会と軍が離別していくのが帝政の衰亡へと導いているように思えます。だからこそ、かつてのカエサルの言葉が重みのあるものになるのではないでしょうか。2018/11/05
KAZOO
68
コモドゥスが暗殺されて、帝位争いの後にルキウス・セプティミウス・セヴェルスが後を追います。軍人出身らしく軍を優遇して、民間の離反を招きますが、辺境が徐々に侵食され始めていることを考えればやむをえなかったような気もします。とにかくこれからが衰退の一途ということになるのでしょう。2015/04/05
大阪魂
57
シリーズ第31弾。愚帝コモドゥスの暗殺後はマルクス・アウレリウスに登用された有能な将軍たちの帝位争い。勝ち残ったのは一番非情でスピード感のあったセヴェルス。これまでの元老院と市民重視、あくまでプリンキパートス(第一の市民)であるべし!ってローマの伝統から、軍重視、自分の故郷におもきし公共投資、って専制君主化してしもたセヴェルス、軍の成果あげるため緩衝地帯やったパルティアを弱体化させ、ササン朝ペルシャの侵攻の芽をつくったり…後継者の息子カラカラもプライドだけ高い愚帝な雰囲気…いよいよ衰退の準備整ってきたなあ2023/01/21