出版社内容情報
塩野 七生[シオノ ナナミ]
著・文・その他
内容説明
二代皇帝ティベリウスは、後もカプリからローマ帝国を統治し続け、皇帝としての職責を完璧に全うした。国体は盤石となり、それを受け継いだ幸運な皇帝が、カリグラだった。紀元37年、すべての人に歓迎されて登位した若き皇帝に、元老院は帝国統治の全権を与える。しかし「神になる」ことまでを望んだカリグラは愚政の限りを尽くす―。政治を知らぬ若者を待ち受けていたのは無残な最期だった。
目次
第1部 皇帝ティベリウス(承前)―在位、紀元一四年九月十七日‐三七年三月十六日(カプリ隠遁;セイアヌス;アグリッピーナ派の一掃;セイアヌス破滅 ほか)
第2部 皇帝カリグラ/本名ガイウス・カサエル―在位、紀元三七年三月十八日‐四一年一月二十四日(若き新皇帝;生立ち;治世のスタート;大病 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
412
この巻の主役は、第3代皇帝のカリグラだが、前半の1/3くらいはカプリ隠遁後のティベリウスの記述が続く。またローマの「普遍」に対するユダヤの「特殊」として、この間のユダヤの分析にもページ数をさいている。「第一人者」、「皇帝」、「護民官特権」から、果ては「国家の父」の称号までを弱冠24歳のカリグラは手にしたのである。カリグラは、カミュの戯曲などに見られるほどヴァイオレンスで無茶苦茶な皇帝ではなかったようだが、政治家としては何とも無能だったようだ。治世わずか3年と10ヶ月。あろうことか近衛軍団の大隊長によって⇒2020/01/07
ハイク
110
カエサル、アウグストゥスそしてティベリウスの3人でローマ帝国は盤石となった。ティベリウスは死ぬまで帝国を基礎固めを行なった。その後を引き継いだのはカリグラであった。人々はカリグラを歓迎した。しかし彼は廃税とか祝祭や 見世物等大衆に受けることを実施したため、財政は支出ばかりで惡化する一方であった。こうしてついに身内の近衛軍団の大隊長の二人によって殺害された。3年と10か月の統治で28歳と5か月の若さの死であった。殺害動機は記録が残されていないので不明である。結局の所カリグラは盤石の体制を食いつぶした。 2018/10/01
ehirano1
104
続いてのご登場はカリグラさん。しかしその前にティベリウスの後半部分。いやはや凄いに尽きます。スッラが蘇ったのかと思うくらいキレッキレじゃないですか。カリグラの項でもティベリウスの地味だけど功績が如何に凄かったに呻らされ、塩野さんがティベリウスはホントに悪名高き皇帝?と思われるのもわかる気がします。2017/12/02
ケイ
92
アグリッピーナは反逆罪とされ、息子ネオ・カエサルも島流しとなる。ティベリウスはカプリ島に隠遁するが、そこから5年以上に渡り、治世を行う。彼の治世は、堅実で面白味に欠け、娯楽も制限されていたが、ローマに安定安泰をもたらすものであったのだろうか。彼の病死後、ゲルマニクスとアグリッピーナの三男、カリグラが皇位を継承すると、市民は熱狂的に彼を迎える。人気もあり、資金も豊富で磐石なローマの皇帝となった彼に政治手腕はなく、財政は危機に紛する。そしてカリグラは近衛軍団の長らに暗殺された。2014/11/01
優希
88
2巻目はカリグラ帝が登場します。とはいえ、多少ティベリウス帝のことも出てきます。ローマ帝国を支配し続け、国家を盤石にしてしまった皇帝からの引き継ぎは、国民からの歓迎と前政権を与えられる幸運なものだったのでしょう。それが逆に愚政の限りになってしまったのは24歳という若さ故なのかもしれません。無残な最期へと政治は転落していったと言えますね。2018/07/24
-
- 洋書
- PORTE 8