出版社内容情報
塩野 七生[シオノ ナナミ]
著・文・その他
内容説明
「帝政」の名を口にせず、しかし着実に帝政をローマに浸透させていくアウグストゥス。彼の頭にあったのは、広大な版図に平和をもたらすためのリーダーシップの確立だった。市民や元老院からの支持を背景に、アウグストゥスは綱紀粛正や軍事力の再編成などに次次と取り組む。アグリッパ、マエケナスという腹心にも恵まれ、以後約200年もの間続く「パクス・ロマーナ」の枠組みが形作られていくのであった。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
427
マキアヴェッリは言った。「カエサルが殺されずに人生をまっとうしていたとしたら、彼の政策はあのままでは進んではいなかったであろう」。さすれば、あの時期にカエサルが殺され、アウグストゥスにバトンタッチしたことは、ローマの発展にはプラスであったのだろう。カエサルはカエサルのままで、アウグストゥスのようであることはできない。もっとも、稀代の天才カエサルは我々凡人には先が全く読めないのだけれど。この巻では、アグリッパを副官に選んだカエサルの慧眼、そして生涯にわたってそれを見事に全うしたアグリッパの存在がが光る。2019/11/20
ehirano1
140
「ユリウス姦通罪・婚外交渉罪法」と「ユリウス正式婚姻法」を以って少子化対策するとは・・・、いやはや心底驚きました。しかし能く読んでみるとなるほどうまいなぁ、となってしまいます。2017/08/18
ケイ
102
ここまでは、外敵との闘いや内部での権力争いで起こった戦争の話が続いたが、この巻はアウグストュスが行った内政改革や、彼の右腕のアグリッパが行った軍事の整備についての記述がほとんどで、些か読むスピードがダウンしてしまった。やはり、国を治める者は国に足をしっかりと付けていなくてはいけないのだろうか。南仏のポンデュガールがアグリッパによるものと知って感動した。あんな立派なものを紀元前に作っていたとは!2014/10/29
ハイク
101
アウグストゥスには二人の補佐役がいた。アグリッパは軍事方面であり、マエケナスは外交であった。この補佐役が十二分に働いた。アウグストゥスはようやく国家が安定してきたので、今後を見据えてのローマ帝国の基礎固めである。軍事 改革は広い領土を防衛する為非常に重要な改革であった。まず軍の定員は財源から考えて15万人が精一杯であつた。その代り補助兵の制度を作り補った。税制改革も行った。ローマ市民と非ローマとに分け、また間接税として贅沢税として税金を集めた。こうしてパクス・ロマーナの基礎固めを行なったのである。 2018/09/17
優希
92
着実に帝政がローマに浸透していくのがわかります。共和政を実現すると言いつつ、アウグスティヌスの念頭にあったのは平和をもたらす指導者だったに違いありません。市民や元老院の支援を背景に、組織改革に次々と取り組み、アグリッパとマエケナスという腹心をも得て、パクス・ロマーナは徐々に完成されていくように見えました。2018/05/30