内容説明
紀元前100年、ローマの貴族の家に一人の男児が誕生した。その名はユリウス・カエサル。共和政に幕を引き、壮大なる世界帝国への道筋を引いた不世出の創造的天才は、どのような時代に生まれ、いかなる環境に育まれたのか。古代から現代までの、歴史家をはじめとする数多の人々を魅了し続けた英雄カエサルの「諸言行」を丹念に追い、その生涯の全貌を鮮やかに描き出した、シリーズの頂点をなす一作。
著者等紹介
塩野七生[シオノナナミ]
1937年7月7日、東京生まれ。学習院大学文学部哲学科卒業後、イタリアに遊学。68年に執筆活動を開始し、「ルネサンスの女たち」を「中央公論」誌に発表。初めての書下ろし長編『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』により1970年度毎日出版文化賞を受賞。この年からイタリアに住む。82年、『海の都の物語』によりサントリー学芸賞。83年、菊池寛賞。92年より、ローマ帝国興亡の一千年を描く「ローマ人の物語」にとりくむ。93年、『ローマ人の物語1』により新潮学芸賞。99年、司馬遼太郎賞。2002年、イタリア政府より国家功労賞を授与される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
157
いよいよユリウス・カエサルの登場。彼こそが、この『ローマ人の物語』全体を通しての、あるいは古代ローマ世界で最高に興味深い人物であることは論を待たないだろう。もっとも、これから6巻にわたって描かれるカエサルも、この巻ではまだ一介の前法務官(プロプラエトル)に過ぎないのだが。ただし、ここまでで既に他者の追随をまったく許さない事績が2つあった。やたらと女性にもてること(お相手は徹底して人妻と寡婦に限られる)と、一生かかっても到底返しきれない莫大な額の借金である。カエサルにあやかるならどちらの能力がいいだろうか。2013/01/07
ehirano1
156
カエサルの莫大な借金の原因の1つが「書籍購入」というのは、読書を愛する当方としてはなんとも微笑ましかったです。しかも、当時の知識人ナンバーワンのキケロも認めるところの読書量だったとのことですから尚更です。当方はとてもマネできませんが、なんだか微笑ましいです。2017/03/05
レアル
109
カエサル37歳にして立つ!と遅咲きだった彼。しかし彼は幼少のころから勉学に励み、莫大な借金を自己投資しながら、私利私欲もなく成長する。カエサルを幼少のころから書かれている本書が興味深い!今後のカエサルの活躍が気になる!2013/10/23
ハイク
105
このところ塩野七生の本を読んでいる。読メを始める直前に「ローマ人の物語」を全巻読んだ。今回は「カエサル」に関する所に焦点を絞って読み始めた。著者も彼のファンだという。多額というより莫大な借金をし、女にもてるカッコイイ 度胸のある男なのだ。現代に当てはめるとアメリカの元大統領かもしれない、ジョン・F・ケネディを更にスケールを大きくした人物のようだ。勿論現代と比較するのは難しいことである。ケネディはソ連がキューバに兵器を持ち込もうとした時の、彼の度胸はカエサル以上なのかも知れない。こんなことを思い読んだ。 2018/07/30
優希
92
いよいよカエサルが登場します。少年・青年期が描かれているので、まだローマにおいて権力は持っておらず、ポンペイウスの独壇場にある状況にあるようでした。とはいえ、カエサルが今後偉大な人物になるであろう片鱗は伺えます。2018/04/30