出版社内容情報
フィレンツェを追われたマキアヴェッリに残されたのは、友人や元同僚に宛てて手紙を綴り、外交官としての体験から得た考察を書き続けることだけだった。比類なき鋭く深い観察眼で移り行く時代を凝視し、大国の時代に翻弄される祖国の自由を強く求めたマキアヴェッリ。その彼が書き、考え、イタリア・ルネサンスの精神とともに果てるまでを、愛情と敬意を込めて描いた完結編。
内容説明
フィレンツェを追われたマキアヴェッリに残されたのは、友人や元同僚に宛てて手紙を綴り、外交官としての体験から得た考察を書き続けることだけだった。比類なき鋭く深い観察眼で移り行く時代を凝視し、大国の時代に翻弄される祖国の自由を強く求めたマキアヴェッリ。その彼が書き、考え、イタリア・ルネサンスの精神とともに果てるまでを、愛情と敬意を込めて描いた完結編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
92
マキアヴェッリはフィレンツェに居場所がなくなって、手紙を書いたり、自身の経験をつづっていくことしかすることがなくなりました。なにかサラリーマンと似ている気がします。派閥抗争に敗れた人が・・・。それで解説を佐藤優さんが書いているのもわかるし塩野さんがこの人物にかなり肩入れしているのもわかる気がします。君主論もこのような逆境の中で書かれたのでしょう。理想論を書いているつもりが、自分が悲憤慷慨した結果このような作品が生まれたのでは?2015/07/06
ケイ
78
追われたマキャベリは、友人と書簡を交わし、次々と作品を書き、後世にも残る喜劇をも手がけた。法王のすぐ側に使えたグッチャルディーニは、彼の天才ぶりを理解できた一人だったが、カルロス対フランソワ一世の戦争が起こった時にマキャベリが教皇にした進言を受け入れられなかった。教皇が右往左往している間に、神聖ローマ帝国軍が勝ち、皇帝のスペイン人の部下達も嘆くほどプロテスタントのローマに対する略奪は凄まじく、フィレンツェも崩壊、メディチ再び追放される。祖国で15年前と同じ職に応募し落選したマキャベリは失意のうちに死んだ。2015/03/09
アイゼナハ@灯れ松明の火
37
もしマキアヴェッリが失職しなければ、『君主論』が書かれることはなかったろうというのは皮肉だね。才能があるんだから、他の国の政府に仕えてみればよかったのに、という訳にはいかなかったんだろうね。祖国愛かぁ…しかし、国を治める技術を用いるには不可欠な資質ではある。そんな彼だけに、メディチの影響を脱した祖国に再び用いられなかったとはまさに悲劇。官僚を悪者にするだけでは何も変わりはしない、というのは割と身近な話のような気もするですね。それにしても、ずいぶんマキアヴェッリという人を身近に感じられた本でした。流石です。2011/05/21
kawa
34
意に反して著作活動に入り、後世に残る「君主論」などを著すマキアヴェッリの作家活動を描く。イタリア都市国家とルネサンスの終わりを告げる数々の騒乱は興味深いのだが、小説的にはこの3巻はイマイチ。その理由は、著者にあるのではなく、いみじくも佐藤優氏「解説」の「失意の中でもっぱら『見える世界』のことを考えた」という、マキアヴェッリの現役に対する未練からくるものと想像する。「解説」が一個の作品として、本編に負けない形で成立していることにびっくりなのだが…、これで良かったのだろうか。2020/03/27
takaya
31
以前は、「目的のためには手段を選ばず」という冷たい考えの持ち主だとしか思わなかったマキアヴェッリ。たしかに国家存続のために「政治と倫理を別物」と考えていた人だったにせよ、塩野氏の著作を読んで、とても人間的な人だったとイメージが変わりました。当時のイタリアで、もっと彼の言うことに耳を傾ける人が多かったら、歴史はだいぶ違っていたかもしれません。現在の日本と重ねると複雑な気持ちになりますが。2021/05/05
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