内容説明
国政に復帰したマルコは、再びトルコと対峙する。絶対君主スレイマンが没すると、両国間には戦雲が立ち込め、ついには誰も望まなかった全面衝突に発展してしまう。五百隻が海上で激突し、一万五千人が命を落としたレパント沖での大海戦は、その後の世界をたった一日で運命づけるのだった…。一人の外交官の人生を通して、ルネサンス世界の興亡を壮大に描いた傑作歴史小説、圧巻の完結編。
著者等紹介
塩野七生[シオノナナミ]
1937年7月7日、東京生れ。学習院大学文学部哲学科卒業後、イタリアに遊学。’68年に執筆活動を開始し、「ルネサンスの女たち」を「中央公論」誌に発表。初めての書下ろし長編『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』により1970年度毎日出版文化賞を受賞。この年からイタリアに住む。’82年、『海の都の物語』によりサントリー学芸賞。’83年、菊池寛賞。’92年より、ローマ帝国興亡の歴史を描く「ローマ人の物語」にとりくむ(2006年に完結)。’93年、『ローマ人の物語1』により新潮学芸賞。’99年、司馬遼太郎賞。2002年、イタリア政府より国家功労勲章を授与される。’07年、文化功労者に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
229
全四巻、1,600頁弱、完読しました。イタリア、ヴェネツィアの歴史、文化、政治に対する圧倒的な知識・見識で読ませますが、やはり著者は小説ではなく、歴史書が良いと思います。主人公がマイナーな外交官ということもありますが・・・本人も自覚していて、小説はこの1作だけにされているのではないでしょうか? https://www.shinchosha.co.jp/book/118124/2021/02/02
パトラッシュ
85
ヴェネツィア、フィレンツェ、ローマとマルコの恋愛や遍歴を追ってきたが、最終巻ではヴェネツィア共和国が主人公だ。欧州諸国とオスマントルコが戦争へと突き進みレパント海戦に至るまでヴェネツィアの政治・軍事・外交の動きを、政府高官となったマルコの視点で描いていく。物語自体は面白いが1~3巻までとの連続性が断ち切られて、著者の旧著『レパントの海戦』の焼き直し的部分もあるなどマルコを登場させる必然性が薄い。国難に際して政治家はいかに行動すべきかを書きたかったのかもしれないが、小説ではなく政治論として出してほしかった。2021/01/26
ジュール リブレ
77
欧州の歴史を紡いできた塩野七生さんの初期の作品は、舞台こそ地中海であったけれど華やかなりしロマンス小説の書き手だったのを思い出す。最近、再刊された3作に、今になって新刊が出たとは。時代を経てヴェネツィアに戻ったマルコ=ダンドロも壮年。もはやロマンスにうつつを抜かす時期を過ぎ、政治の世界にずっぽり嵌りオスマントルコとの対決に身をやつす。懐かしい塩野七生調の重厚なシンフォニーを久しぶりに堪能した。往時の名物、マルヴァジア酒を片手に読みふけりたい。2021/03/21
優希
70
この物語の主人公はレパントの海戦と言えるでしょう。キリスト教国連合艦隊とイスラム教のトルコ帝国艦隊の戦いは、その後の世界の運命を決めてしまうのが凄いと思いました。マルコという1人の青年を通して見て来たルネサンス世界の興亡は壮大で面白かったです。2021/01/23
まえぞう
57
マルコ・ダンドロ三部作の完結編がでました。彼の故郷、ヴェネツィアに戻ってからのお話しです。前半は三部作の続編ですが、途中からはレパントの海戦の再編集版という感じです。それでも、ギリシャ人の物語で少なくとも長編は最後にされたはずの塩野節を読めたのはよかったです。2020/12/30