内容説明
時は16世紀。ヴェネツィア共和国の若き外交官マルコは、欧州制覇を目論むスペインとイスラムの盟主トルコに挟撃される国難打開の密命を託される。しかし、トルコでマルコを出迎えた旧友で敵国の宮廷深くに通じるアルヴィーゼの瞳にひとたび暗い光が灯ると、世界の命運は激しく変転していくのだった…。愛と陰謀が渦巻くルネサンス時代を描いた傑作歴史小説。
著者等紹介
塩野七生[シオノナナミ]
1937年7月7日、東京生れ。学習院大学文学部哲学科卒業後、イタリアに遊学。’68年に執筆活動を開始し、「ルネサンスの女たち」を「中央公論」誌に発表。初めての書下ろし長編『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』により1970年度毎日出版文化賞を受賞。この年からイタリアに住む。’82年、『海の都の物語』によりサントリー学芸賞。’83年、菊池寛賞。’93年、『ローマ人の物語1』により新潮学芸賞。’99年、司馬遼太郎賞。2002年、イタリア政府より国家功労勲章を授与される。’07年、文化功労者に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
214
塩野 七生は『ローマ人の物語』等の主要作品および新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者作家生活唯一の歴史ミステリ、初読です。ヴェネツィアとコンスタンティノープル(イスタンブール)の両方を旅したことがあるので、情景が目に浮かび楽しめました。カーニバルの時期にヴェネツィアを再訪したい。続いて第二巻、フィレンツェへ。トータルの感想は、全四巻読了後に。 https://www.shinchosha.co.jp/book/118121/2020/12/10
パトラッシュ
85
昔『ルネサンスの女たち』や『神の代理人』を楽しく読んだのを思い出す。古代ギリシアやローマ帝国も面白かったが、やはり塩野さんはルネサンスのイタリアで激しく生きた人間像こそ本領を発揮する。国家理性を重んじたヴェネツィアの指導層たるべき若い貴族が、理性と反対の感情の領域である友情や恋愛に悩みながら祖国の危機に立ち向かう姿が何ともいえない味わいだ。チェーザレやカエサルら実在の英雄とは異なる庶民に近いキャラだけに、激動の歴史に呑まれる無名の人びとの苦闘が浮かび上がる。歴史とは人の愚行の連続ドラマだと思い知らされる。2020/12/04
優希
76
16世紀のヴェネチアが広がるようでした。塩野流歴史小説の空気で面白かったです。マルコとアルヴィーゼの友情は、敵国同士というだけあり、ふとしたことで世界の命運が激しく変えてしまうのですね。トルコとヨーロッパの間に亀裂があった時代ならではの衝撃は、時代を生きる人々にとって厳しいものだったことでしょう。2020/10/25
読特
46
元のタイトルは『緋色のヴェネツィア』。1993年の作品。舞台はヴェネツィア。カルロス1人が統治するスペイン・神聖ローマ帝国。アジアの大国オスマントルコ。海軍強国とはいえイタリアの1都市国家に過ぎない国。選択できる手段、は微妙で繊細なものにならざるを得ない。支えたのは国を思う心と知恵。その渦の中起きる悲劇。小説であるが故の架空の人物、史実と異なる描写。しかし、この時代とこの国のリアルは伝わってくる。バブル崩壊直後、まだ余力が十分にあった日本。しかし、ここに描かれているような教訓は生かすことができなかった。2020/12/29
たんかれ~
28
面白くて一気読みでした。トルコのスレイマンとスペインのカルロスに挟まれたヴェネツィア。ヴェネツィア名門貴族のマルコ・ダンドロと元首の庶子アンドレア・グリッティは幼馴染。商売で財をなしトルコの要人となったグリッティはハンガリー王位を目前に命を落とす。後を追うプリウリ夫人リヴィア。残ったマルコはこれからどうする?ヴェネツィアのC.D.X(十人委員会)の動きも興味深い。早く次巻へ。2020/12/14
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