出版社内容情報
塩野 七生[シオノ ナナミ]
著・文・その他
内容説明
十五世紀末イタリア。群立する都市国家を統一し、自らの王国とする野望を抱いた一人の若者がいた。その名はチェーザレ・ボルジア。法王の庶子として教会勢力を操り、政略結婚によって得たフランス王の援助を背景に、ヨーロッパを騒乱の渦に巻き込んだ。目的のためなら手段を選ばず、ルネサンス期を生き急ぐように駆け抜けた青春は、いかなる結末をみたのか。塩野文学初期の傑作。
著者等紹介
塩野七生[シオノナナミ]
1937年7月7日、東京生れ。学習院大学文学部哲学科卒業後、イタリアに遊学。’68年に執筆活動を開始し、「ルネサンスの女たち」を「中央公論」誌に発表。初めての書下ろし長編『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』により1970年度毎日出版文化賞を受賞。この年からイタリアに住む。’82年、『海の都の物語』によりサントリー学芸賞。’83年、菊池寛賞。’93年、『ローマ人の物語1』により新潮学芸賞。’99年、司馬遼太郎賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
174
久しぶりに再読。1970年度の毎日出版文化賞受賞作なので、初出はもう随分以前である。しかし、今でもけっして古びることなく輝きを失わない。チェーザレ・ボルジアの波乱に富んだ生涯を見事に描き出している。そして、読後は静かな感動に包まれるのである。2012/03/20
まちゃ
143
(再読)何回読んでも塩野七生さんの独特の文章で綴られた歴史小説に惹き付けられます。人間世界の歴史に対する作者の真摯で温かい眼差を感じずにはいられません。十五世紀末イタリア統一の野望を抱いたチェーザレ・ボルジアの生涯を描いた物語。イタリア語のチェーザレ(Cesare)は、ラテン語でカエサル。かの有名なガイウス・ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー )に通じます。両者とも凡人には見えない未来を構想して行動する天才であったと思います。2015/09/27
マエダ
110
マキャベリが君主論において、新たに君主になったものが見習うべき人物としてを上げている程の人物であるチェーザレ。レオナルド・ダ・ヴィンチとの繋がりやマキャベリとの関係、人心掌握などとても面白い。2016/08/06
rico
99
群雄割拠のルネッサンス期イタリアを駆け抜けたチェーザレ・ボルジアの生涯。野心に溢れ、権謀術数を弄し、邪魔者を周到に排除(殺)し、昇りつめていった果てに、流星のように墜ちていって。遊びが少なく情報量の多い塩野さんの文体と慣れない地名や名前に手こずりつつも、気がつけば、この血塗られた美しき君主に魅了されていた。歴史にifはないけど、法王と同時に病に倒れることがなければ、彼がイタリアを統一し、ヨーロッパは今と違った形になっていたのだろうと夢想してみる。とはいえ天寿を全うするチェーザレはなかなか想像しにくいけど。2023/07/12
優希
91
優雅な冷酷さが全編を貫いていました。チェーザレ・ボルジア。世界史における織田信長的存在に思えます。ルネサンス時代、利用できるものは利用し、自らの帝国を擁立しようとする姿はときめく悪的感情になりました。「毒を盛る男」として歴史に名を刻んだチェーザレ。「守る」政治より勝った存在なのでしょうね。華麗なる毒殺者をして歴史上に名を残したチェーザレの悪の美しさに惹かれずにはいられません。2019/08/05